2000 Fiscal Year Annual Research Report
地理情報システム活用による屋久島の環境・生態系の成立とその変容の解析
Project/Area Number |
12308004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
安仁屋 政武 筑波大学, 地球科学系, 教授 (10111361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 徹 筑波大学, 農林学系, 教授 (60015881)
佐藤 俊 筑波大学, 歴史・人類学系, 教授 (00114497)
天田 高白 筑波大学, 農林工学系, 教授 (80114031)
鞠子 茂 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (10251018)
中野 孝教 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (20155782)
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Keywords | 屋久島 / 地理情報システム / 生態系 / 花こう岩 / 酸性雨 / 地形解析 / 生業調査 / 屋久杉 |
Research Abstract |
平成12年度は次のような調査・研究活動を行った。 (1)50mグリッドのDEMを使って、屋久島の地形分類を行った。斜面方位図、斜面傾斜図、流域図、高度分布図などを作成して、屋久島の地形の特徴の抽出を試みた。その結果、安房川流域では傾斜が緩く、宮ノ浦川の源流域の傾斜がきついことが判明した。(2)屋久島の降水、土壌、河川水の地球化学的特徴を解析した。その結果、降水に含まれる人為起源の硫黄や窒素酸化物は主に中国大陸に由来すること、酸性物質を中和するCaは屋久島の植物に由来することが明らかとなった。花崗岩土壌は大量の酸性雨により激しく風化し酸中和能に乏しい。(3)地質に関する調査では、四万十層群のマッピングを行い、屋久島花崗岩帯磁率異方性(AMS)測定用の試料を採取した。さらにフィッショントラック年代測定のため屋久島花崗岩のサンプルからジルコンを抽出し、測定を依頼した。(4)植生に関しては、標高別に以下の3樹林内に10×10mの調査枠を設け、3ヶ月ごとの継続観察と計測を行った。A-海岸林(標高、10m)、B-照葉樹林(標高、600m)、C-針広混交林(標高、1200m)。(5)土壌サンプリング:植生調査枠内から3地点の土壌(リターと深さ5cmまでの鉱質土壌)をサンプリングし、炭素と窒素の含量を測定した。さらに調査枠内の5地点において、密閉法を使って土壌呼吸の測定を行った。同時に、土壌温度と土壌水分を測定し、環境要因と土壌呼吸速度との関係を求めた。(6)分子生物学的手法を利用した微生物生態系の解析を進めた。屋久島から標高別(標高1290m針葉樹林、標高700m照葉樹林、標高20m亜熱帯性海岸林)に採取してきた土壌より、total DNAを抽出した。各地点を比較したときに、標高700m地点(照葉樹林)の濃度が高かったが、この結果は、吸光度測定の結果とも一致している。(7)屋久島の自然と人間の関わりを探る観点から、各集落の「岳参り」に関して予察調査を行った。
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Research Products
(1 results)