2000 Fiscal Year Annual Research Report
不整脈心電現象のモデリングによる解析・表示とその実験的検討
Project/Area Number |
12308046
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲田 紘 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20028393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中沢 一雄 国立循環器病センター研究所, 研究員 (50198058)
児玉 逸雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (30124720)
佐久間 一郎 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (50178597)
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Keywords | シミュレーション / LRモデル / スーパーコンピュータ / 心臓の興奮伝播の可視化 / Spiral Reentry / 高速DVCR / 抗不整脈薬 / 光学的心筋細胞膜活動電位マッピングシステム |
Research Abstract |
シミュレーション技術を応用し、心臓の不整脈発生時の興奮伝播状況の解析を行うとともに、光学的心筋細胞膜活動電位マッピングシステムを開発し、実験的に発生したSpiral Reentryを観察し、シミュレーション結果と比較する。さらに、薬物投与の興奮伝播に及ぼす作用についても解析する。このため、本年度は以下のような研究を実施した。 (1)心筋活動電位モデルによるシミュレーションおよび心臓の興奮伝播の可視化:単位心筋を記述する微分方程式としてLR(Luo-Rudy)モデルを用い、ヒトの心室形状に約564万ユニットを結合させた心室モデルを作成した。日本電気(株)製スーパーコンピュータSX-4/16で大規模シミュレーションプロラムを開発・演算の結果、パソコンに比し、約1000倍の高速でシミュレーション結果を得た。次にSpiral Wave理論に基づき、心臓の興奮伝播を再現し、ボリュームレンダリングなど種々のコンピュータグラフィクスの手法を用いて、ワークステーション上に動画像表現による可視化を試み、良好な結果を得ることができた。 (2)光学的心筋細胞膜活動電位マッピングシステムの開発:膜電位感受性色素Di-4-ANEPPSで染色したウサギLangendorff灌流心の膜電位伝播の様子を光学計測可能とするため、2台の高速DVCR(Digital Videocamera)を用いたシステムを新たに開発して電気刺激で誘発したSpiral Reentryを撮影し、2枚の動画合成により広領域の観察を可能にした。 (3)光学的心筋細胞膜活動電位マッピングによるSpiral Reentryの実験的検討:高速DVCRと光ファイバ束を組合わせたhybrid心筋活動電位マッピングシステムを開発し、前述のウサギ灌流心での心室Spiral Reentryのダイナミクスとdisopyramideやpilsicainideなど抗不整脈薬の作用を検討し、Spiral Reentryの形成による心室頻拍(VT)の誘発や多形成VTの観察、薬物作用下でのVT周期の延長など薬物による修飾の詳細な解析が可能なことを認めた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ichiro Sakuma,Hiroshi Inada,Itsuo Kodama, et al: "Computer Simulations of Elecrical Propagation in Cardiac Tissue"Medical Physics. 27・6. (2000)
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[Publications] 中沢一雄,稲田紘 他: "スーパーコンピュータを利用した頻脈的不整脈の興奮波ダイナミクスの3次元動画表現"医療情報学. 20・Suppl・2. 604-605 (2000)
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[Publications] Kazuo Nakazawa, et al.: "Rotational Anisotropy Promotrs Breakthrough-Wave in Left Ventricle during Fibrillation : A Simulation Study"Journal of Cardicvascular Electrophysiology. 12・3(in press). (2001)
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[Publications] 中沢一雄 他: "LR心室形状モデルにおける心電図再構成の試み"電子情報通信学会技術研究報告. 100・350. 9-16 (2000)
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[Publications] Itsuo Kodama,Ichiro Sakuma, et al.: "Regional differences in arrhytmogenic aftereffects of high intensity DC stimulation in the ventricle"Pacing and Clinical Electrophysiology. 23. 807-817 (2000)
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[Publications] Ichiro Sakuma,Itsuo Kodama, et al.: "Analysis of epicardial activation patterns during DC-shock induced ventricular tachycardia"Environmental Medicine. 44. 32-34 (2000)