2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12355005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
雨宮 慶幸 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (70151131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上ヱ地 義徳 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (10312985)
沖津 康平 東京大学, 工学部・附属総合試験所, 助手 (50323506)
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Keywords | 偏光 / 偏光顕微鏡 / シンクロトロン放射 / X線エリプソメーター / X線移相子 / X線光学素子 |
Research Abstract |
本研究の目的は、これまで開発したX線ポラリメーターに新しく考案したダイヤモンド結晶を用いた収差補償型X線移相子を組み合わせて、偏光度の高い任意のX線偏光状態を生成し、かつ、試料から散乱されたX線の偏光状態の高精度な解析を行うことのできるX線エリプソメーターを開発することである。 昨年度製作した4枚のダイヤモンド結晶からなる収差補償型X線移相子を一つのカイ軸ゴニオメータの内側に取り付け、装置全体がX線ビームの周りに任意の角度で回転できる回転型四象限移相子を完成させた。4枚のダイヤモンド移相子は、X線ビームの周りにお互いに90°づつ角度をなしていて、光軸収差と色収差が同時に補償できる配置に保たれている。シンクロトロン放射の水平偏光を高い偏光度の垂直偏光と円偏光に効率よく変換できることは昨年度に示したが、回転型四象限移相子の作成により、任意の方位角を有する直線偏光を生成するが可能になった。入射する水平偏光を一度円偏光に変換した後で任意の方位角の直線偏光に変換する方法(パス1)と4枚の移相子を1枚の移相子としての機能を持たせて1回の変換で任意偏光を生成する方法(パス2)を比較して、得られる直線偏光度の比較を行った。その結果、パス2の方が、直線偏光度および方位角の精度の両面で優れていることが分かり、収差補償型X線移相子である四象限移相子が任意の方位角でも理論通り動作することを実験的に確認することができた。任意の楕円偏光度の生成も可能であるが、その評価実験は現在進行中である。任意の方位角の直線偏光を生成できることが可能になったことの意義は大きい。すなわち、試料によるX線の散乱面を常に一定(たとえば鉛直面)にして実験を行いながら、すべての散乱テンソルを測定することが可能であり、そのためには通常のθ-2θ二軸ゴニオメーターがあれば十分である。これまでスカラー量として扱われてきた原子散乱因子をテンソル量として測定できる計測システムが現実的なものになったといえる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] M.Imai, et al.: "Fluctuation of lamellar structure prior to a lamellar->gyroid transition in a nonionic surfactant system"Physical Review E. 62,5. 6865-6874 (2000)
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[Publications] K.Sato, et al.: "X-ray magnetic circular dichroism imaging with hard X-rays"J. Synchrotron Rad.. 8. 1021-1026 (2001)
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[Publications] K.Ohwada, et al.: ""Devil's staircase"-type phase transition in NaV2O5 under high pressure"Physical Review Letters. 87,8. 8640(2-1)-8640(2-4) (2001)
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[Publications] K.Okitsu, et al.: "X-ray four-quadrant diamond phase-retarder system to compensate for offaxis and chromatic aberrations"Acta Cryst.. A58. 146-154 (2002)
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[Publications] K-Sato, et al.: "Imaging based on hard X-ray magnetic linear dichroism by means of polarization switching"Physical Review B. (in press). (2002)