2001 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀における日本の水稲品種の生育特性に関するデータベースの構築
Project/Area Number |
12356001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩間 和人 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (70144219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 二郎 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (00163486)
平沢 正 東京農工大学, 農学部, 教授 (30015119)
国分 牧衛 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (40323084)
秋田 重誠 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (10251498)
窪田 文武 九州大学, 農学部, 教授 (50136602)
堀江 武 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (90181528)
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Keywords | 乾物生産 / 形態 / 光合成速度 / 収量 / 水稲 / 窒素吸収 / データベース / 20世紀 |
Research Abstract |
本研究の目的は、20世紀に日本で育成された水稲品種の形態、生理、生態的特性に関するデータベースを作成することにある。本年は研究の2年目として下記の実績を得た。 1. 日本各地の研究担当者が、水稲の新旧10〜20品種を水田圃場で栽培して、根系、葉面積量、個葉光合成速度、子実の肥大速度と期間、収量構成要素および収量を測定した。たとえば北海道地区では、遺伝的な改良による収量性の向上は過去100年間で約120kg/10aと推定され、これは同期間における平均収量の増加(300kg/10a)の約4割に相当することが明らかになった。この収量増加には、1900〜1940年の品種に比較して、1941〜1960年の品種では穂数の増加に伴う籾数の増加が、1961〜1980年の品種では登熟歩合の増加に伴う収穫指数の増加が、1981〜2000年の品種では地上部乾物重の増加に伴う全乾物生産量の増加が主として寄与していた。また関東地区では、作付けの多かった新旧11品種を比較し、近年育成された品種の中で比較的早生の品種では収穫指数が大きいことによって穂重が大きくなり、中生の品種では耐倒伏性のある傾向が認められ、最近の超多収性品種では乾物生産量、収穫指数がともに著しく大きいことを明らかにした。さらに九州地区では、この地域のモデルとして佐賀平野で作付けされた新旧品種を対象に、乾燥ストレスに対する光合成〜光呼吸反応を比較し、時代ごとに分けた3つの品種群で反応性が異なることを明らかにした。 2. データベースソフト開発担当者は、インターネットで公開するデータベースの形式や提供方法について検討を加え、異なるアプリケーションの利用者に同様の形式に見せかけることができる仲介ソフトウエアを開発した。また、初年度に作成したデータベースのプロトタイプに、各地域の国公立農業試験場から収集した既存のデータを入力し、各研究者が閲覧して問題点を討議した。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] 永田 貴之: "北海道における過去100年間の水稲主要品種の収量性の変遷"日本作物学会紀事. 70・別2. 97-98 (2001)
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[Publications] T. Hasegwa: "Rice growth and development limited by root zone temperature"The Proceedings of the 6^<th> Symposium of the International Society of Root Research, Nagoya. 520-521 (2001)
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[Publications] H. Shimono: "Effects of root pruning and root zone restriction on spikelet fertility of paddy rice(Oryza sativa L.)under cool water condition"The Proceedings of the 6^<th> Symposium of the International Society of Root Research, Nagoya. 522-523 (2001)
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[Publications] Mihara, T.: "Biomass production, yield component and xylem sap exudation of paddy rice as affected by the salt stress"The Proceedings of the 6^<th> Symposium of the International Society of Root Research, Nagoya. 322-323 (2001)
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[Publications] 奥村 麗: "Oryza glaberrima 染色体置換系統群を用いたイネの生産関連諸形質の遺伝"日本作物学会紀事. 70・別2. 351-352 (2001)
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[Publications] 二宮 正士: "インターネット上の気象データの効率的利用を可能にする支援ソフト MetBroker"農林水産技術研究ジャーナル. 24・3. 9-12 (2001)
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[Publications] 三王裕見子: "湛水直播栽培した水稲の生育と倒伏およびこれに関係する性質の品種間差-苗立ち密度に着目して-"日本作物学会紀事. 70. 515-524 (2001)
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[Publications] 三王裕見子: "湛水直播栽培した水稲品種タカナリの乾物生産過程の解析-慣行移植栽培した水稲との比較-"日本作物学会紀事. 70・別2. 77-78 (2001)
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[Publications] 三王裕見子: "湛水直播栽培, 移植栽培したタカナリの生育と乾物生産特性の比較-栽植様式に着目して-"日本作物学会関東支部会報. 16. 26-27 (2001)
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[Publications] 岩間 和人: "作物学事典、第1章第3節 作物生産と人口・食料問題(日本作物学会編)"朝倉書店. 12-18 (2002)