2000 Fiscal Year Annual Research Report
健常乳幼児と発達障害児における「心の理解」の発達と援助プログラムの開発
Project/Area Number |
12410033
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
長崎 勤 筑波大学, 心身障害学系, 助教授 (80172518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 信也 筑波大学, 心身障害学系, 教授 (60251005)
池田 由紀江 筑波大学, 心身障害学系, 教授 (00015843)
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Keywords | 他者意図理解 / 伝達効果 / 伝達の修正 / 心の理解 / 信念 / 援助プログラム |
Research Abstract |
1)0-2歳健常乳幼児と発達障害乳幼児における他者意図理解の発達 [実験1]0-1歳健常児とダウン症児における「伝達効果参照」と「伝達の修正」の発達 「取り上げ場面」での10ヶ月から20ヶ月までの健常児について、対人注視を伴った「伝達効果参照」と「伝達行動の変更方法」を、実験者が「なーに?」と応答する場合と、応答しない場合の2つの条件差について分析した。その結果、月齢の変化に伴って「待つこと」の持続時間が長くなり、15ヶ月から20ヶ月にかけて有意に増加した。また「待つこと」は15ヶ月以降、実験者による応答条件のほうが、非応答条件よりも持続時間が有意に長くなった。伝達行動の変更方法は、伝達手段を「付加」したり、高次な手段に変換する「高次化」によって再要求することが15ヶ月から20ヶ月にかけて有意に高くなった。ダウン症児は精神年齢0-1歳時期から「伝達効果参照」と「伝達の修正」に困難性が示されたが、その一方で、応答効果が認められた。 2)「心の理解」の発達援助プログラムの開発 [実験2]ダウン症幼児に対する「心の理解」を促す指導-共同行為ルーティンによる「他者の信念」理解の促進- 5歳ダウン症幼児に対して"宝当てゲーム場面"の共同行為ルーティンを設定して、「心の理解」における「信念」の理解の促進を試みた。「信念」の理解は「他者に知られないように隠し、知っていることを教えない」、すなわち「対象児が隠し手の際、他者が後ろを向くのを待って隠すこと、及び他者が一方の箱を選ぶ際、正解を教えずに待つこと」を指導目標とした。その結果、「信念」の理解については、指導場面では目標に対する行為は獲得された。このことから、限られた場面のみであるが、「他者に知られないように隠し、知っていることを教えない」という理解の萌芽がみられたといえる。
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