2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12410039
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Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
斉藤 耕二 白百合女子大学, 文学部, 教授 (70014686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 洋一 白百合女子大学, 文学部, 教授 (20145650)
澤田 瑞也 神戸大学, 発達科学部, 教授 (40015764)
菊地 章夫 岩手県立大学, 文学部, 教授 (10007289)
鈴木 忠 白百合女子大学, 文学部, 助教授 (40235966)
首藤 敏之 埼玉大学, 教育学部, 助教授 (30187504)
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Keywords | 共感性 / 青年期 / 成人期 / 自己-他者関係 / 向社会的行動傾向 / 家族 |
Research Abstract |
青年期における共感性の発達の分析を目的として、共感性尺度(Davis,対人的反応指標、IRI)を中心として、社会的スキル、向社会的行動傾向、社会的望ましさ、社会的脱中心化、他者指向性、情緒安定性など自己-他者関係に関連した変数から構成された質問紙を作成した。大学生および高校生(15歳より28歳までの男女計952名)を対象として、この質問紙を実施した。収集した資料に基づいて、各尺度の得点の分布、信頼性、妥当性を検討するとともに、尺度間相関の分析、各尺度別因子分析を行っている。これらの結果から、青年期における認知、感情的発達に伴う共感性の様相の変化を解明する手がかりが得られることであろう。 成人期における共感性を研究するときの視点は、男性と女性でかなり異なる。わが国では、近年、性別分業的な意識は薄れてきたものの、まだまだ「男性は仕事、女性は家庭」的な考え方が根強く残っているからである。そのため、他者に対する共感性は女性の側により強く求められる傾向にある。そこで、成人女性を対象として、共感性に関わるいくつかの尺度・項目と、成人期の生活・感情・家族関係・自己実現傾向、さらにはErikson, E.H.の生殖性などを測定する質問紙を構成し、成人女性528名を対象として調査を実施した。結果は解析中であるが、生殖性と共感性の間にある程度の相関が認められるなど、いくつかの興味ある結果が得られている。 一般大学生を対象とし、その人自身の「辛い経験」が、慢性疾患者に対する共感性とどのような関係があるのかを調査し、分析を進めている。独立変数として、辛い経験の有無と克服の程度についての項目を設定した。従属変数として、(1)Davisの共感性尺度、(2)慢性疾患者のイメージに関するSD法による質問、(3)慢性疾患者の、社会の中での身の処し方、社会の側からの過ごし方についての質問を設定した。現時点の分析では、Davisの尺度の視点取得尺度と個人的苦痛尺度に関して、辛い経験をしたことがあり、かつそれを克服したと感じている人と、そうでない人との間に統計的な有意差を見出している。他の尺度の関係についてもさらに分析を進める予定である。
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