2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12410039
|
Research Institution | Shirayuri College |
Principal Investigator |
斉藤 耕二 白百合女子大学, 文学部, 教授 (70014686)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永久 ひさ子 文京学院大学, 人間学部, 講師 (90297052)
鈴木 忠 白百合女子大学, 文学部, 助教授 (40235966)
林 洋一 白百合女子大学, 文学部, 教授 (20145650)
|
Keywords | 共感性尺度 / 対人的反応性指標(IRI) / 共感性の発達 / 青年期 / 成人期 |
Research Abstract |
これまでに、幼児用、児童用あるいは青年・成人用の共感性尺度がすでに開発、利用されている。これらの尺度・用具は適用可能な発達段階が異なっているだけでなく測定内容、基礎となる理論などが多様であって、研究結果を直接に比較、統合することが不可能であった。またこれらの尺度は個人差の測定を重点としていて異なる発達段階間の移行の記述、あるいは生涯発達過程に関する理論の構成に直ぐに役立つものではない。乳児・幼児期から高齢期に至る全生涯における共感性の発達の研究に用いることのできる共感性測定尺度・用具を開発することが本研究の第一の目的となった。 先行研究の成果を整理、展望する試みがなされたが、その結論として、現状では共感性発達の理論として尺度開発に用いることのできるのは、ホフマンの理論であるということになった。しかしながらこのホフマン理論がカバーしている範囲は乳幼児期から青年初期までであって、また「モード」という発達的特質は単一な尺度や用具で測定することが困難であると考えられた。 そのために、最も広く用いられているデイビスの「対人的反応性指標(IRI)」をまず用いて、その結果の検討によって更に発展させるという道を選択することとなった。この「対人的反応性指標(IRI)」は青年期、成人期を適用範囲とし、内容的には認知的要素と感情的要素という構成要素と自己指向と他者指向という対人的指向性の2次元の組み合わせからなっている。 本研究では、対人的反応性指標と関連する尺度を青年期と成人期の対象者に実施した結果とその検討によって明らかにされた成果を中心として、共感性発達に大きな影響を及ぼしている、自分の感情についての認知、つらい経験を持つこと、他者の共感反応の対象となった経験の効果などが検討されている。
|