2000 Fiscal Year Annual Research Report
保健医療システム改革と非営利組織及びボランティア・ネットワークの機能分析
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12410059
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
時井 聰 淑徳大学, 社会学部, 教授 (60197861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 健作 高知大学, 人文学部, 助教授 (90248625)
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Keywords | 保健医療システム / NPO(非営利組織) / 専門職(Profession) / ネットワーキング / 市民参加 / 社会的合意形成 / 公共財配分の意思決定 / ボランティア |
Research Abstract |
平成12年度は、平成8年度〜平成9年度のカリフォルニア州における保健医療関連非営利組織を対象とする質問紙調査の研究成果及びそのデータを参考に、アメリカ非営利セクターの全体像と非営利組織の機能に関する仮説の再検討及び構築を行いつつ、その仮説の検証を行うべく保健医療関連の活動をマサチューセッツ州・ニューヨーク州・ワシントンDCにおいて行っている5,000の団体に対して郵送法による質問紙調査を平成12年2月〜3月にかけて実施し、現在その集計及び分析を行っている。 集計及び分析の途中結果から得られる知見としては、以下の三点があげられる。 アメリカの非営利セクターは、サービス提供を主とする非営利組織と、資金、情報などの面からサービス提供非営利組織を支援する多様な非営利組織や財団より構成され、一つの「重層的システム」をなしている。しかし経済的側面よりすると、少数だが経済的に大規模な組織と多数の小規模で零細な草の根的非営利組織とに二分される(非営利セクターの二重性)。大規模な組織は既存システムの補完的機能を果たし、草の根的組織は既存のシステムに対する監視や改革の機能を持ち、さらにはシステムの自立的運営を目指す傾向が見て取れる。このような二重性は、これらの組織における専門家の果たす役割にも大きな影響を及ぼしているのであり、既存システムを補完する大規模組織では既存の分業の一環として専門家が機能し、草の根的組織では活動の全体をコーディネートする機能を果たしている機能が見られる こうした二重性及びその機能の際に関しては、カリフォルニア州にて行った調査同様の傾向が見て取れるのであるが、政策決定への強力な働きかけ、あるいは補完機能の完成度など調査対象の地域特性に由来する独自な傾向も見て取れる。今後は、収集された文献・統計資料・データ等に関しより一層の分析・検討を行うとともに、協力していただける非営利組織へのインタビュー調査等の追跡調査を行う事とする。
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