2001 Fiscal Year Annual Research Report
知的障害者の入所施設から地域の住まいへの移行に関する研究
Project/Area Number |
12410067
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
河東田 博 徳島大学, 医学部, 教授 (80258318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芥川 正武 徳島大学, 医学部, 助手 (90294727)
孫 良 四国学院大学, 社会学部, 助教授 (90299355)
新保 穏子 四国学院大学, 社会学部, 助教授 (50270012)
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Keywords | 知的障害 / 入所施設 / 地域の住まい / 地域生活 / スウェーデン / イギリス / ドイツ / 日本 |
Research Abstract |
本研究は、スウェーデン(イェテボリ市)、イギリス(リバプール市)、ドイツ(アンハルト州ホイム)、日本(大阪・富田林市)の4カ国における入所施設から地域の住まいへの移行の実態と移行後の地域生活の実態を明らかにすることを目的に、これら4カ国の旧入所施設利用者を対象に、2001年8月から2002年3月にかけ、面接調査により行われた。調査対象者は、各国とも、入所施設利用経験がある20人(男女各10人)、利用者の家族10人(男女各5人)、利用者をよく知っている職員10人(男女各5人)であった。面接調査では、各対象者に見合う4種類の調査用紙が用意された。面接は母国語で十分なコミュニケーションがとれるように主に現地調査員によって行われた。面接は利用者の生活の場で行われることが多く、面接時間は利用者の場合1時間から3時間を要した。 調査の結果、次のようなことが明らかになった。どの国の対象者も入所施設に対して大変否定的な感情を持っていた。入所施設から地域の住まいへの移行に際して事前に十分な情報提供はなく、今後の生活や人生を見通すことができるような働きかけはどの国でもあまりなされていなかった。スウェーデンやイギリスでは1990年代になってからようやく当事者参加による移行の検討がなされるようになった。ドイツでは、利用者(本人)や家族の意向を聴くことなく施設主導で移行を行っていた。移行後何度も住まいを変えるケースも見られたが、地域生活を行うようになった利用者は、どの国でも「絶対的な肯定的な体験」となっており、地域の住まいへの移行が利用者にとって自分たちの生活や人生を取り戻す必要不可欠な要件となっていることが判明した。地域生活の内容と質は国によって異なっており、各国の福祉政策の成熟度と連動していた。 研究最終年度には、指標に基づく分析と比較検討を行っていく予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 孫 良: "知的障害者の入所施設から地域の住まいへの移行-イギリスの実態と課題"四国学院大学論集. 第105号. 1-16 (2001)
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[Publications] 杉田 穏子: "ドイツの障害者福祉の現状と課題-ドイツ保健省による1995年の施設生活調査を基に"四国学院大学論集. 第105号. 135-152 (2001)
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[Publications] 孫 良: "イギリスにおける知的障害者の入所施設から地域の住まいへの移行に関する実態と課題"日本社会福祉学会第49回全国大会研究報告概要集. 331 (2001)
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[Publications] 杉田 穏子: "ドイツにおける知的障害者の入所施設からの住まいへの移行に関する調査"日本社会福祉学会第49回全国大会研究報告概要集. 235 (2001)