近世・近代商家文書に関する総合的研究

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12410089
• Research Institution: Shiga University
• Principal Investigator: 宇佐美 英機 滋賀大学, 経済学部, 教授 (60273398)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 藤井 譲治 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (40093306) ; 岩崎 奈緒子 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (80303759) ; 小川 功 滋賀大学, 経済学部, 教授 (70252377)
• Keywords: 商家文書 / 中井源左衛門家 / 仙台店 / 日野町

Research Abstract

本研究の目的は、商家文書を経済と社会の結節点に位置するものととらえ、滋賀大学経済学部附属史料館の保管する中井源左衛門家文書を対象として、その構造的特質を明らかにすることである。共同研究は、中井家文書の調査と各自の分担に即した研究の二つの柱で進めることとし、今年度は、(1)中井家文書の調査と分析、(2)他機関所蔵「商家文書」の調査、(3)「商家文書」の総合的検を計画した。
(1)については、詳細な史料調書を作成し、パソコン入力による目録作成に着手した。本年度で全体の約四割の調査を終えることができた。まだ調査途中でもあり、文書の全体構造の分析を行うには至っていないが、日野の中井本家と仙台店とが不可分に結びついていたことや、分家である京都店との関係もまた、単なる本家・分家関係として理解できるものではなかったことが明らかになってきている。来年度にはさらに積極的に調査を進め、全体的な構造の検証に着手したい。
(2)については、仙台での中井家に関わる文書調査と出店跡地の確認を実施した。また、北海道における場所請負商人文書の調査、国立国文学研究資料館史料館での商家文書調査、岩手県立図書館での近代商家文書の調査を行い、一部の史料収集を行った。研究分担者の調査結果の整理・分析は「研究発表」覧に成果として記載した。
(3)については、研究会を重ねて、「商家文書」についての先行研究の検討を行い、現在の研究状況の把握に努めた。また、中井家の所在する日野町を調査し、地域における中井家の位置について検証するとともに、文書の構造分析に不可欠な史料搬入時の中井家文書の状況について調査を実施した。この結果は、次年度以降の研究会において報告される予定である。

Research Products

• [Publications] 宇佐美英機: "「近江商人」の家訓・店則にみる「立身」と「出世」"経済史研究. 5号(未定). (2001)
• [Publications] 小川功: "機関銀行と機関新聞-近江商人進出地・盛岡の金融破綻-"彦根論叢. 326号. 1-20 (2000)
• [Publications] 小川功: "首位行による共同出資行の機関化と下位行封じ込め-大正期貯蓄銀行合同設立を巡る岩手銀行界の紛糾-"彦根論叢. 327号. 41-60 (2000)
• [Publications] 小川功: "一県一行主義による当局主導の強圧的銀行総合の弊害-旧岩手銀行と三陸銀行の合併お巡る紛糾を中心に-"彦根論叢. 328号. 1-22 (2000)