2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12410106
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Research Institution | Okinawa International University |
Principal Investigator |
江上 幹幸 沖縄国際大学, 総合文化学部, 助教授 (30320518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土肥 直美 琉球大学, 医学部, 助教授 (30128053)
上原 静 沖縄国際大学, 総合文化学部, 専任講師 (40320519)
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Keywords | 集積遺構 / 無土器時代 / シャコガイ製貝斧 / スイジガイ製貝製品 / 蒸し焼き料理 / リュウキュウイノシシ / 貝珠 / 沖縄先島文化圏 |
Research Abstract |
発掘調査地沖縄県宮古郡城辺町新城荒牛 アラフ(新生)遺跡 (砂丘遺跡・貝塚) 発掘調査期間 三次調査 (平成13年11月20日〜29日 12月19日〜30日) 今年度は前年度に引き続き宮古島アラフ遺跡の発掘調査を行った。 前年度の発掘区I-10・11区を西へ2m拡張し、また、J-9・10区を南にサトウキビ畑まで延長した。層位的には前年度調査の第1文化層(III層)から、第2文化層(V層)まで掘り下げた。 前年度に確認された三つの文化層はそれぞれ異なった遺構をもつことが確認された。 第1文化層では集石遺構とその周辺に炭化物が集中する面が検出された。 第2文化層では竪穴遺構が検出された。どの竪穴遺構も三方の壁にかかっているため、全容はうかがえないが、2・4号竪穴では、シャコ貝に近接した位置から半人頭大の石が出土している。この状況は、シャコ貝と石が生活上必要な何らかの道具として、セットで使われていた可能性を示す。こういった居住性を強くうかがわせる出土遺物のあり方と、何より竪穴という形状は、4基の遺構が住居祉である可能性を強く示唆している。しかし、今回は時間的制約から床面精査を行うことができず、柱穴等を検出できなかった。したがって、住居址としての確証を得るにはいたらなかった。次回の調査では、床面の精査をおこなった上、シャコ貝と石のセット、灰溜りなどを検討し、竪穴遺構の性格を見極めたい。 土壌微細形態学(Soil Micromorpholory)による分析を宮路淳子氏(京都大学)、熱残留磁気測定を時枝克安氏(島根大学)に依頼した。 今年度の調査で大きな問題を投げかけたのは土器の出土である。検出された土器片が口縁部片一点であるということは間題を残しているが、土器が出土した層から得た年代測定結果は暦年代AD80年という結果であり、琉球列島先島文化圏の編年による無土器時代に相当する層である。現在、土器の年代を知るために、土器に付着した炭の年代測定を依頼している。 人工遺物は第1文化層からシャコガイ製貝斧、スイジガイ製利器、貝製ヘラ状製品(クロチョウ貝)、貝珠、貝製ビーズ、貝製ヘラ状製品(クロチョウ貝)、サメ歯製装身具、獣骨歯製装身具、土器口縁部、石器が出土し、第2文化層からもシャコガイ製貝斧は出土している。 アラフ遺跡から出士した貝製ヘラ状製品や獣骨歯製装身具は琉球列島先島文化圏で初めて発見された遺物であり、集積遺構、住居址の検出をもあわせると、琉球列島の先史時代を解明する上でこの遺跡が重要な遺跡であることが確認された。
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