2002 Fiscal Year Annual Research Report
司法改革における憲法裁判-違憲審査制の制度と機能に関する比較法的研究
Project/Area Number |
12420006
|
Research Institution | MEIJO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
栗城 壽夫 名城大学, 法学部, 教授 (10046964)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 達朗 中央大学, 法学部, 教授 (10146996)
畑尻 剛 城西大学, 経済学部, 教授 (80172914)
戸波 江二 早稲田大学, 法学部, 教授 (00155540)
石村 修 専修大学, 法学部, 教授 (10103409)
井上 典之 神戸大学, 法学部, 教授 (70203247)
|
Keywords | 違憲審査制 / 憲法裁判所 / 国際研究者交流 / ドイツ:スペイン:オーストリア:韓国:中華民国 / 基本的人権の保障 / ヨーロッパ人権裁判所 / 憲法裁判官 / 憲法訴訟法 |
Research Abstract |
十分に機能しているといえないわが国の違憲審査制を活性化させたいという目的意識に立脚して、個々の判決はともかく制度・手続自体はこれまでアメリカの最高裁に比して注目することの少なかったドイツ、オーストリア、スペイン、韓国及び中華民国の憲法裁判制度に関する比較法的研究を行った。 詳細は日本語及びドイツ語で2003年に出版される予定の『憲法裁判の国際的発展』("Dic Fortschritte der Verfassungsgerichtsbarkeit in der Welt-von dem rechtsvergleichenden Gestichtspunkt, insbesondere zwischen Deutschland und Japan")において明らかにするが、概略以下のような認識を得た。 1)現代の憲法裁判所制度の原型とされるドイツの連邦憲法裁判所は、憲法秩序の維持のためにも基本的人権の保護のためにも積極的に審査を行い、実体法の面においても訴訟技術の面においても独自のものを大胆に打ち出している。またこれに対する国民の信頼も一貫して高い。 2)ドイツに範をとり憲法裁判所制度を採用する諸国も、その憲法文化の違いによって具体的な手続・権限そしてその機能に違いがあり、またそれを担う裁判官層も一様ではない。 3)憲法裁判所制度の場合、これを構成する裁判官の憲法意識、政治意識そして個性は一般の裁判官に比して実際に強くまた高い。 4)ヨーロッパでは、各国の一般の裁判所、悲法裁判所そしてヨーロッパ人権裁判所という三者それぞれが、基本的人権の実効的保障のための役割を担っている。 5)憲法訴訟には訴訟要件、判決の拘束力など、民事・刑事・行政という一般の訴訟とはさまざまな相違があり、独立の憲法裁判所を設けるか否かの問題とは別に、違憲審査の活性化のためには独立の憲法訴訟法の検討が必要である。
|
Research Products
(1 results)