2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12420008
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡辺 惺之 大阪大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30032593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 美明 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 教授 (20144420)
櫻田 嘉章 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10109407)
松岡 博 大阪大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30028013)
中野 俊一郎 神戸大学, 法学部, 教授 (30180326)
道垣内 正人 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (70114577)
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Keywords | 韓国における外国調停・和解の承認 / 判断と同一の効力 / 知的財産権侵害の準拠法 / 国際裁判管轄 / 韓国国際私法 / サイバーADR |
Research Abstract |
1.調停の承認・執行 韓国では裁判上の和解は判決同一の効力を有するという場合、既判力も含まれると解されている(意思表示の暇疵等の無効原因ある場合は再審に準じた扱い)。その結果、日本の裁判上の和解、調停いずれも承認・執行対象適格を認められ、実際にも既に承認例がある。これに対して、日本の場合、和解・調停に既判力を認める見解は少数説であり、判例実務も認めない扱いが普通である。また、承認の対象となる外国判決には含まれないとの解釈が一般的である。この問題について、現状では日本と韓国との間に違いがあり、解釈によりその違いを越えることは困難と思われるが、二国間協定によりその間隙を埋めることは可能と思われる。将来の二国間協定の対象として検討する必要がある。 2.知的財産権紛争の国際裁判管轄と準拠法 韓国は新国際私法に知的財産権の準拠法につき保護国法による趣旨の規定を新設した。しかし、その個別具体的な場合における内容については議論の余地が残る可能性もあり、また、特に侵害事件の場合に不法行為準拠法によるべきか、権利の準拠法によるべきかが問題となる局面も残している。国際裁判管轄に関してはまだ具体的な外国知的財産権利の侵害訴訟事例もなく、必ずしも明確ではないと。 3.サイバーADRの実情 韓国ではサーバーADRは、いわゆるドメインネーム紛争以外に、eコマースに関連した実施機関が活動しており、相談、調停型の手続きはかなりの利用があり、また、仲裁類型についても二例ほどの実例があると報告されていた。わが国と比べて数段の先を進んでいる感じがした。国際的効力をどのように考えるべきかは今後の検討事項とした。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 渡邊惺之: "客観的併合による国際裁判管轄"石川明先生古稀記念諭文集(商事法務研究会). (予定). (2002)
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[Publications] 渡邊惺之: "インターネットによる国際的な民事紛争と裁判"高橋・松井編『インターネットと法(第2版)』(有斐閣). 281-317 (2002)
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[Publications] 道垣内正人: "ハーグ裁判管轄外国判決条約案の修正作業-外交会議の延期と打開策の模索"ジュリスト. 1194号. 72-81 (2001)
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[Publications] 道垣内正人: "国際倒産における債権者平等…外国で弁済を受けた債権者の扱い…"金融・商事判例(増刊号「国際倒産法制の新展開-理諭と実務-」). 1112号. 115-120 (2001)
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[Publications] 道垣内正人: "裁判管轄等に関する条約採択をめぐる現況…2001年6月の第1回外交会議の結果(上)"ジュリスト. 1211号. 80-91 (2001)
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[Publications] 道垣内正人: "裁判管轄等に関する条約採択をめぐる現況…2001年6月の第1回外交会議の結果(下)"ジュリスト. 1212号. 87-95 (2001)
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[Publications] 野村美明: "「法人その他の杜団・財産の管轄権」高桑・道垣内編『新・栽判実務大系3巻』"青林書院. 10 (2002)
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[Publications] 中野俊一郎: "「国際民事保全法の現状と課題」『日本と国際法の100年』"三省堂. 25 (2001)