2002 Fiscal Year Annual Research Report
雇用流動化の下での日本ホワイトカラーのキャリア構造変動についての比較制度分析
Project/Area Number |
12430006
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平本 厚 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (90125641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西澤 昭夫 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (80257435)
谷口 明丈 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (20103228)
野村 正実 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (20112138)
若林 直樹 京都大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (80242155)
川端 望 東北大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (20244650)
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Keywords | ホワイトカラー / キャリア構造 / 制度分析 / 労働過程 / 雇用流動性 / 労働市場 |
Research Abstract |
今年度は、ホワイトカラーのキャリア構造についての、1990年代に入り日本企業のホワイトカラーのキャリア開発が内部労働市場から、企業グループ化や雇用流動化に伴い、企業グループ内及び外部労働市場へと広がってきている状況を分析した。そしてその成果を労働経済学、経営史などの国際会議において報告し、その成果を国際的な観点から検討し、妥当性について検討を行った。そしてその成果を基にして、東北大学経済学部同窓会を対象に、キャリア構造についての世代間分析を行うために、大規模アンケート調査を実施した。 各自の研究成果は次である。平本は戦後の電機・電子企業を対象に、ミドル・マネジメントの役割について研究し2003年の第27回経営史国際コンファレスにて発表し、戦略形成における意義を明らかにした。川端は日本企業による雇用管理のあり方が経営戦略によって大きく規定されていることを検討し、産業の成熟という厳しい構造的条件の下での日本企業の「経営資源の外部化」策としての雇用政策の事例として高炉メーカーを取り上げて、企業グループ内での大量出向・転籍と、それに対応した人的資源活用策が主体的対応のダイナミクスの一つの競争戦略パターンに対応していたことを明らかにした。野村も戦後の日本企業の雇用構造を検討し、近年の成果主義的人事制度の影響を歴史的に位置付けようとした。谷口は米国の1920年代以降のホワイトカラーのキャリア動向を含む報告を、経営史学会全国大会統一論題をはじめいくつかの研究会で行った。。稲垣も近年のイタリアの中小企業の集積においては、新規開業が困難となる傾向が見られる状況の中で、グループとして規模が拡大した企業においては、新しい起業家を社内で育成し、独立させるケースが見られることを現地調査で明らかにした。若林はまた北米企業においてM&Aも雇用流動性の一つのチャンネルであることを現地調査した。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 平本厚: "科学技術動員と研究隣組:第二次大戦下日本の共同研究"社会経済史学. 68巻5号(近刊). (2003)
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[Publications] 稲垣京輔: "イタリアにおける起業家のキャリア形成:ボローニャの包装機械メーカーを事例として"経済と貿易. No.186(近刊). (2003)
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[Publications] 野村正実: "成果主義と年功賃金"季刊家計経済研究. 2002年春号. 18-25 (2002)
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[Publications] Nomura, Masami: "Is the Japanese-style welfare society sustainable? (with Kimiko Kimoto)"Gertrude S. et al. eds., Diminishing Welfare. A Cross-National Study of Social Provision, Auburn House, Westport and London. 295-319 (2002)
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[Publications] Nomura, Masami: "Japan's total employment. Expaining Japan's low unemployment"Wolfgang Seifert and Claudia Weber Hrsg. Japan im Vergleich. Indicium Verlag, Bamberg. (2002)
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[Publications] 若林直樹: "シリコンバレーにおける社会的ネットワークと「企業境界を超えたキャリア」:IT産業地域における現代的職業労働市場とキャリア形成"日本労働研究機構研究所編 雇用創出地域の人的資源管理 (日本労働研究機構資料シリーズNo.124). 155-177 (2002)
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[Publications] Nishizawa, Akio: "Current Situation of Venture Finance for Spin-off Companies in Japan"D.Gibson, C.Stolp, P.Conceicao & M.Heitor (eds.), Systems and Policies for the Globalized Learning Economy, Quorum Books. (近刊). (2003)
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[Publications] 西澤昭夫: "「大学発ベンチャー企業」支援策とInnovation Clusterの形成_わが国における産学官連携の可能性"日本経済学会編 21世紀経営学の課題と展望 千倉書房刊. 72集. 121-132 (2002)
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[Publications] 西澤昭夫: "産学連携と地域クラスター:グローバル経済のパラドックス"仙台経済同友会編 仙台経済同友会報. 第257号. 12-24 (2002)