2001 Fiscal Year Annual Research Report
単一通貨ユーロ導入が世界経済に与える影響に関する研究-金融・通貨および税制を中心に-
Project/Area Number |
12430020
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岩田 健治 九州大学, 大学院・経済学研究院, 助教授 (50261483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 誠一 神戸大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40135778)
田中 素香 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (20094708)
エルアグラ アリ 福岡大学, 商学部, 教授 (90202754)
川波 洋一 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (80150390)
高浜 光信 明治大学, 商学部, 助教授 (70287879)
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Keywords | ユーロ / EU(欧州連合) / 国際通貨 / 金融システム / 金融政策 / 税制 / 世界経済 / ドル |
Research Abstract |
国際ワークショップ等の開催を通じて、ユーロ導入後の欧州内外の金融・通貨システムについて次のような知見が得られた。在外研究協力者のシャーラーは、ユーロ導入前に学者から指摘されてきた域内不均衡問題、ユーロ為替相場の下落等について、ユーロ導入後3年の経緯を踏まえて解明した。高浜はOCA(最適通貨圏)理論のアプローチに、高インフレの周辺エマージング諸国が通貨同盟に参加する際のディスインフレによる純利得と、当該諸国の産業構造が先行参加国のそれと乖離している場合の純損失という分析視座を新たに加え考察を行った。田中は「有害な租税競争」が新たにクローズアップされている点を踏まえ、2000年6月に合意された「税制パッケージ」の紹介・分析を中心にEU域内の税制調和の問題を解明した。エル-アグラは、英国のユーロ導入問題について分析し、経済的観点からはユーロ導入は可能だが国家主権が係る政治経済学的な観点からはなお予断を許さないことを指摘した。在外研究協力者のメイズは、ユーロ域内の単一通貨政策が直面する非対称性の問題について、フィリップス曲線の非線型性と非対称性、オーカン曲線、財政政策の非対称性、金融政策の非対称性の視点から解明した。メイズ・岩田は、ユーロ導入後の銀行・証券監督の諸問題市場規律に基づく銀行退出政策、EU規制・監督の制度的アレンジと規制改革(ラムファルシー委員会報告)等を広範に調査した。さらに岩田は、金融制度面での統合、金融機関・市場の再編の過程を通じて、金融システム次元での市場型システムへの一定程度の収斂が進展してきていることを、資金余剰主体の金融資産の変化を通じて明らかにしている。川波は、ユーロ導入がもたらした企業の合併買収(M&A)や大規模な資金調達のうねりのなかで、なぜ米国投資銀行が欧州系投資銀行より優位なポジションを獲得しえたのかを解明した。なお上記研究は『ユーロとEUの金融システム』として公刊を予定している。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 田中 素香: "経済統合・通貨統合"NIRA政策研究. vol.14, No.12. 38-43 (2001)
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[Publications] 田中 素香: "グローバリゼーションと国民経済形成型統合-EU(欧州連合)のケース-"世界経済(国際経済学会機関誌). 第52号. 35-55 (2001)
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[Publications] 高浜 光信: "通貨同盟参加のコスト・ベネフィット分析-最適通貨圏理論と信認輸入仮説の融合"明治大学社会科学研究所ディスカッション・ペーパー・シリーズ. No.J-2002-2. 1-16 (2002)
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[Publications] 藤田誠一: "EMSからEMUへ:国際通貨体制へのインプリケーション"『社会科学』(同志社大学人文科学研究所). 65号. 93-115 (2000)
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[Publications] 藤田誠一: "国際通貨論の課題"『甲南経済学論集』. 42巻1号. 1-31 (2001)
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[Publications] 藤田誠一: "ユーロの国際通貨制度上の意義"『国際金融』. 1073号. 48-53 (2001)
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[Publications] H-Eシャーラー, A.エル-アグラ, 田中素香, DG.メイズ他著 岩田健治編著: "ユーロとEUの金融システム"日本経済評論社. 336 (2002)