2000 Fiscal Year Annual Research Report
特養ホームの同一敷地内での段階的建替時における高齢者の環境移行とその影響について
Project/Area Number |
12450245
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
足立 啓 和歌山大学, システム工学部, 教授 (50140249)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 篤孝 大阪体育大学, 短期学部, 教授 (70113157)
奥 俊信 和歌山大学, システム工学部, 教授 (20029359)
本多 友常 和歌山大学, システム工学部, 教授 (20304181)
赤木 徹也 関西大学, 工学部, 研究員
田辺 毅彦 PL学園女子短期大学, 助教授 (50217105)
|
Keywords | 改築 / 環境移行 / 特別養護老人ホーム / 高齢者 |
Research Abstract |
1.目的 本研究では、都市部における老朽化した特別養護老人ホームでの、同一敷地内における段階的建替えにおいて、入居者が残存部分に一時的に移動を余儀なくされ、詰め込まれる移動を「一時移行」、さらに新築完成後に入居者が広い空間へ移る移動を「最終移行」とし、これらが入居者の行動に及ぼす影響について検討した。 2.調査概要 入居者が居室移動する直前、直後、移行後1年後のそれぞれを「一時移行」は調査A〜C、「最終移行」は調査D〜Fとして計6回で調査した。 非参与による行動観察調査を、入居者(調査A:28人、調査B〜E:27人、調査F:23人)に対して行う。入居者の平均的な1日(7:00〜19:00の12時間)の行動を10分おきに追跡調査し、居場所と行動内容を記録用紙とプロット図に記入した。 入居者の行動内容を身体面(動的・静的)×精神面(自律・非自律)の4つに分類し、居場所は自室、廊下、ホール、食堂、外出の5つに分類してクロス集計を行った。 3.調査結果と考察 居室面積や延床面積が縮小した「一時移行」調査A・B・Cでは、(1)直後の調査Bで動的・自律行動が減少し、自室での滞在率が増加している。(2)1年後の調査Cの行動内容と居場所の関係が一時移行前の調査Aの状態に近づいている。延床面積が拡大した「最終移行」調査D・E・Fでは、(3)時間の経過とともに動的・自律行動が増加するとともに、居場所は自室の滞在率が減少し、反面、食堂などのその他の公的場所が増加した。 居住環境が悪化した「一時移行」の場合は、居室に引きこもる傾向がみられるが、1年後はその環境にも少し適応したことが伺える。居住環境が改善された「最終移行」の場合は、時間の経過とともに行動が活発化するようになり、活動範囲も自室以外に拡大した。居室移動後の環境移行による環境の良し悪しが、動的・自律的な適応過程に影響したことが示唆される。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 亀屋恵三子,足立啓 他2名: "特別養護老人ホームの同一敷地内における建替えが入居者に与える影響(その1)痴呆程度別行動内容・場所の検討"日本建築学会大会学術講演梗概集(東北). 計画. 245-246 (2000)
-
[Publications] 村上綾江,足立啓 他3名: "特別養護老人ホームの同一敷地内における建替えが入居者に与える影響(その2)歩行能力別行動内容・行動場所の検討"日本建築学会大会学術講演梗概集(東北). 計画. 247-248 (2000)
-
[Publications] 亀屋恵三子,足立啓 他7人: "特別養護老人ホームの段階的建替えによる環境移行が入居者の行動に及ぼす環境要因について"老年社会科学. 第22巻第2号. 281 (2000)
-
[Publications] 足立啓,亀屋恵三子,赤木徹也,橋本篤孝,: "特別養護老人ホームの段階的建替えによる入居者の環境移行と性格が行動に及ぼす影響"日本建築学会計画系論文集. No.545(未定). (2001)