2000 Fiscal Year Annual Research Report
ウィトルウィウス建築論の受容に関する建築思潮史研究
Project/Area Number |
12450251
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
白井 秀和 福井大学, 工学部, 教授 (40206272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊従 勉 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (00151689)
松本 静夫 福山大学, 工学部, 教授 (70122504)
加藤 邦男 大阪産業大学, 工学部, 教授 (20025927)
市川 秀和 福井大学, 工学部, 助手 (60293411)
内丸 恵一 日本文理大学, 工学部, 講師 (60213451)
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Keywords | ウィトルウィウス / クロード・ペロー / ギリシャ建築 / イタリア・ルネサンス / ジョン・ソーン / フィリベール・ド・ロルム / オイコノミア / ディストリビュティオ |
Research Abstract |
平成12年度は、当初の計画通り、各研究分担者は、基本的文献の収集に力点を置いて研究を行ってきた。外国のさまざまな図書館などでウィトルウィウス関連の資料を収集してきた研究者もいる。また、数回全員が集まり、中途の研究成果を報告し合い、次年度の研究テーマなどを検討した。 研究代表者の白井は、主にフランス語文献を集中的に入手したが、とりわけ17世紀にウィトルウィウスの『建築十書』を翻訳した建築家クロード・ペローの翻訳上の問題に焦点を絞ろうとしている。すなわちウィトルウィウスのいう、オルディナティオ、ディスポジティオ、デコル、シュンメトリア、エウリュトミア、ディストリビュティオの建築六原理を、五原理に集約(シュンメトリアとエウリュトミアをプロポーションの概念のもとに統一)し、ウィトルウィウスの六原理のうち、外在的原理とされるディストリビュティオのギリシャ語源オイコノミアを深く論じたペローのウィトルウィウス解釈の独自性を見いだそうとしている。 研究分担者の加藤は、同じくペローの解釈の問題を、近代の文学者・哲学者の建築論に取り込んでゆこうとしている。竺は、ウィトルウィウス六原理のギリシャ建築思想そのものへの照射を目指し、松本は、イタリア-ルネサンス期の建築書とウィトルウィウス原本の異同を論じようとし、市川は、ドイツ建築書に見られるディストリビュティオの概念を掘り下げようとしている。内丸は、近代イギリスの建築家ジョン・ソーンの王立アカデミでの講義録の読解を通して、ウィトルウィウスの六原理の分析を試み、田路はフランス・ルネサンスの建築書(とりわけド・ロルムの『建築』)の読解により、ペロー以前のウィトルウィウス解釈を追求し、伊従は近代建築に投影されたウィトルウィウス原理の跡を辿ろうとしている。 各研究分担者は、まだ論文の公表には到っていないが、意欲的な報告書の作成に向けて、研鑚を積んでいる。
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