2002 Fiscal Year Annual Research Report
ウィトルウィウス建築論の受容に関する建築思潮史研究
Project/Area Number |
12450251
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
白井 秀和 福井大学, 工学部, 教授 (40206272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊従 勉 京都大学, 大学院・人間環境学研究科, 教授 (00151689)
松本 静夫 福井大学, 工学部, 教授 (70122504)
加藤 邦男 大阪産業大学, 工学部, 教授 (20025927)
内丸 恵一 崇城大学, 工学部, 講師 (60213451)
竺 覚暁 金沢工業大学, 工学部, 教授 (30064447)
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Keywords | カトルメール・ド・カンシー / クロード・ペロー / フランソワ・ブロンデル / ウィトルウィウス / フランチェスコ・コロンナ / ル・コンビュジエ / ジョン・ヴァンブラ / フリードリヒ・エルトマンドルフ |
Research Abstract |
本年度は研究期間最後の一年間であり、各分担者とも報告書のまとめに取りかかった。以下分担者ごとに、報告予定の論文名ないしは論文内容を記述する。 まず、研究代表者の白井は、フランス近代初期の重要な建築理論家カトルメール・ド・カンシーの『百科全書・建築篇』(1788-1825)及び『建築歴史辞典』(1832)所収の項目「シメトリー(シュムメトリア)」と「ウリトミー(エウリュトミア)」の分析からウィトルウィウスの唱えた六原理の変容をまとめつつある。加藤は昨年に引き続き、ペローとブロンデルの論争を枢軸にして近世フランスのアカデミーにおけるウィトルウィウス受容という重大な問題を、パリ出張で収集した一次資料を基に分析している。松本は、「ウィトルウィウスの伝統とイタリア・ルネサンス」及び「物語形式としての『ポリフィロの狂恋夢』(1499)に関する覚え書」なる題目の報告書を作成しつつある。内丸は、「近世イギリスにおけるランドスケープ・ガーデンの空間構造とその建築空間への展開」として報告書を準備中である。竺は、「ウィトルウィウス建築論の継承と現代」という題目の下に、現代にまで及ぶウィトルウィウスの影響を論じようとしている。市川は、18世紀ドイツの建築家エルトマンドルフについての研究を通してドイツにおけるウィトルウィウス受容の軌跡を追う。田路は、『ウィトルウィウス・ブリタニクス』の研究を継続して行い、とりわけヴァンブラ設計のカースル・ハワードにおける邸館とアプローチ路の関係をまとめようとしている。最後に伊従は、海外出張で収集したル・コルビュジエの1910年代及び20年代の建築理論形成に関わる資料からウィトルウィウス理論の痕跡を明示しつつ、古代と現代を結ぶ建築理論の存在を明らかにしょうとしている。 以上、各研究分担者は、実りある成果を報告書にまとめつつある。
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