魚類における細胞性免疫を誘導する抗原エピトープの解析システムの開発

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12460088
• Research Institution: Nihon University
• Principal Investigator: 中西 照幸 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00322496)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 森友 忠昭 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (20239677) ; 岡本 信明 東京水産大学, 水産学部, 教授 (40114912)
• Keywords: 細胞性免疫 / 細胞障害試験 / MHC クラスI / ウイルス / 長期培養細胞 / ニジマス / ギンブナ / ヒラメ

Research Abstract

1.MHCクラスIを共有するドナーと標的細胞の選択
系統が異なるホモ接合体クローンニジマス5尾、野生型ニジマス3系統9尾及び3種のニジマス細胞株より、全長のMHCクラスI遺伝子を単離し塩基配列を明らかにした。構造解析の結果α1及びα2領域における抗原結合に関与する主なアミノ酸は保存されており、ノザンブロット解析により筋肉や肝臓を除く全ての組織で発現していること及び多型性に富むこと等から、単離した遺伝子は抗原提示に関与する古典的クラスI遺伝子と考えられた。また、野生型個体では2個、ホモ接合体では1個の対立遺伝子のみ発現しており、サザンブロット分析からも遺伝子座は1個と推定された。さらに、5系統のうち2系統(C25,AB7)のクローンニジマスとRTG-2,RTH細胞株の対立遺伝子が一致することが明らかとなった。以上のことから、ドナー及び標的細胞として、C25,AB7系統のクローンニジマスとRTG-2,RTH細胞株が適していることが明らかとなった。
2.ギンブナにおけるウイルス抗原特異的細胞障害試験法の確立
諏訪湖産3倍体ギンブナ(S3N)と同系統に由来する細胞株(CFS)を用いて、伝染性膵臓壊死症ウイルス(IPNV)及びウナギラブドウイルス(EVA)に感染した標的細胞に対する細胞障害性について検討した。その結果、S3Nドナー由来のリンパ球は、事前にドナーの感作に用いたウイルスに感染したCFS細胞にのみ細胞障害性を示すことが明らかとなった。
3.クローン魚由来の長期培養細胞の樹立
長期培養細胞の樹立のための適切な組織を選定するために、先ず人工雌性発生法により作出したクローンヒラメを用いて検討した。その結果、鰭及び腎臓より100代以上継代が可能な上皮性及び繊維芽様細胞が得られ、RAPD法により、これらの細胞が供試したクローン魚に由来することが確認された。

Research Products

• [Publications] Somamoto,T.,Nakanishi,T.and Okamoto,N.: "Specific cell-mediated cytotoxicity against a virus-infected syngeneic cell line in isogeneic ginbuna crucian carp."Dev.Comp.Immunol.. 24. 633-640 (2000)
• [Publications] Dijkstra,J.M.,H.Okamoto,M.Ototake,and T.Nakanishi: "Luciferase expression 2 years after DNA injection in glass catfish (Kryptopterus bicirrhus)."Fish & Shellfish Immunol.. 11. 199-202 (2001)
• [Publications] Somamoto T,Nakanishi T,Okamoto N.: "Cell-mediated cytotoxicity of ginbuna crucian carp after infection with crucian carp haematopoietic necrosis virus (CHNV)."Dev.Comp.Immunol.. 24. 7 (2000)
• [Publications] Dijkstra JM,Kollner B,Fischer U,Aoyagi K,Kuroda A,Ototake M,Nakanishi T.: "The rainbow trout classical MHC class I molecule Onmy-UBA^*501 is N-glycosylated and expressed in similar cell types as mammalian classical MHC class I molecules."Dev.Comp.Immunol.. 24. 75 (2000)
• [Publications] Kollner B,Dijkstra JM,Fischer U,Schuetze H,Nakanishi T.: "Influence of cultivation temperature and viral infection of RTG-2 cells on the expression of rainbow trout classical MHC class I molecule"Dev.Comp.Immunol.. 24. 77 (2000)
• [Publications] Ototake M, Okamura K,Hashimoto K,Nakanishi T.: "The function of the most primitive MHC class I"Dev.Comp.Immunol.. 24. 79 (2000)
• [Publications] 中西照幸: "家畜ゲノム解析と新たな家畜育種戦略(畜産技術協会)"魚類における疾病抵抗性の遺伝と抵抗性系統の作出. 359-362 (2000)