2001 Fiscal Year Annual Research Report
ムチン発現からみた膵胆管系腫瘍の再分類-手術適応の判断指標として-
Project/Area Number |
12470046
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
米澤 傑 鹿児島大学, 医学部, 教授 (10175002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津山 新一郎 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (30041346)
高尾 尊身 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (80171411)
愛甲 孝 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60117471)
後藤 正道 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (80325779)
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Keywords | 膵管内乳頭腫瘍 / 肝内胆管癌 / 肝外胆管癌 / MUC1ムチン / MUC2ムチン / 免疫組織学 / 分子病理学 / 癌患者の予後 |
Research Abstract |
膵管内乳頭腫瘍(IPMT)の免疫組織学的・分子病理学的に検索により、IPMTは、MUC2(腸型分泌ムチン)陽性で"dark cell"のタイプと、MUC2陰性で"clear cell"のタイプに分類され、予後良好因子であるMUC2が陽性のタイプに癌の併存率が高く、その浸潤病変には予後不良因子のMUC1/DF3(膜結合型ムチン)が発現することが明らかとなり、癌の併存率の違い等から、IPMTの2系統への分類が手術適応や手術術式の選択に好都合であることを指摘した。この結果を元に、MUC2の陽性細胞と陰性細胞をマイクロデイセクシヨン法により採取し、MUC2発現へのDNAメチレーションの関与の検索を開始した。さらに、IPMTにおいて、MUC1/DF3等の糖鎖の付加が少ない MUC1は、 MUC2陽性タイプ・MUC2陰性タイプの双方に発現しないが、糖鎖の付加が多いMUC1は、MUC2陽性タイプには発現しないものの、MUC2陰性タイプには高率に発現することが明らかになり、この結果からも、IPMTは2系統に分けられることが判明した。 肝内胆管癌の胆管内発育型は、MUC2の発現が優性で予後も良好であることから、胆管嚢胞腺癌と同一グループとして取り扱った方が、手術術式選択等の臨床応用により適していることを明らかにした。また、肝外胆管癌においても、これまで我々が様々の癌で示してきたMUC1は予後不良因子で、MUC2は予後良好因子であるという原則が適応できることが明らかになった。 一方、膵胆管系腫瘍におけるムチン発現の特徴をより明確にするために、比較検討の対象として大腸腫瘍の検索を行った。免疫電顕的検索により、シアリルTn形成のためのシアル化は、大腸腺腫においてはtrans-Golgi器官で起きるが、癌においてはGolgi器官全体のみならず粗面小胞体においても起きていること、大腸腺腫の異型度に関連してMUC2の発現とKi-67標識指数が逆相関すること、さらに、大腸癌肺転移巣におけるMUC1/DF3の発現増強等の現象を明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakamura, A., et al.: "New classification of intraductal papillary-mucinous tumour by mucin expression : Its relationship with malignancy potential"The Journal of Pathology. (印刷中).
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[Publications] Yonezawa, S., et al.: "Expression of several types of mucin are related to biological behavior of pancreatic neoplasms"Journal of Hepato-Biliary-Pancratic Surgery. (印刷中).
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[Publications] 米澤 傑: "ムチンの発現様式からみた通常型膵管癌の組織発生-膵管内乳頭腫瘍との対比-"胆と膵. (印刷中).
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[Publications] Li, A., et al.: "Expression of MUC1 and MUC2 mucins and relationship with cell proliferative activity in human colorectal neoplasia"Pathology International. 51・11. 853-860 (2001)
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[Publications] Wang, F., et al.: "Altered GalNAc-α-2, 6-sialylation compartments for mucin-associated sialyl-Tn antigen in colorectal adenoma and adenocarcinoma"The Journal of Histochemistry and Cytochemistry. 49・12. 1581-1592 (2001)
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[Publications] Li, A., et al.: "Comparative study for histology, proliferative activity, glycoproteins, and p53 protein between old and recent colorectal adenomas in Japan"Cancer Letters. 170・1. 45-52 (2001)