2002 Fiscal Year Annual Research Report
宿主因子によるパラミクソウイルスの遺伝子発現と病原性の制御に関する研究
Project/Area Number |
12470071
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 哲也 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00022905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清谷 克寛 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (00106824)
坂口 剛正 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (70196070)
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Keywords | センダイウイルス / 病原性 / 弱毒性 / リーダー配列 / リバースジェネティクス / 宿主因子 |
Research Abstract |
本研究ではマウスパラミクソウイルスのセンダイウイルス(SeV)病原性発現及び遺伝子発現と宿主因子との関わりを明らかにするために、(1)SeV強毒野外株(浜松株)の非自然宿主継代による弱毒化の機構と(2)SeVアクセサリー遺伝子産物V蛋白の機能に焦点を絞って検討している。14年度は(1)に関する検討が前進したので、(1)について報告する。12・13年度の研究により、浜松株を非自然宿主のニワトリ受精卵で継代すると、卵への順化と選択により、マウス肺でのウイルス増殖能と病原性が著しく低下すること、この増殖性の低下は初代マウス気管上皮細胞において再現できること、その低増殖性は主にウイルスゲノムの複製不全によることを明らかにした。同時に卵順化SeVと浜松株全ゲノムの塩基配列の比較により、リーダー配列とRNA合成酵素L遺伝子に弱毒化と関連すると思われる変異を同定した。14年度は、同定されたリーダー変異のゲノム複製と病原性における意義をリバースジェネティクスにより検討した。まず、浜松株全長ゲノムのcDNAを作成してSeV強毒野外株のウイルス回収系を確立した。つぎにcDNAにこのリーダー変異を導入してリーダー変異ウイルスを作成した。この変異ウイルスのマウス気管培養細胞及びマウス肺での増殖性、さらには病原性を検討したところ、いずれも明らかに低下していた。対照的にこの変異ウイルスはニワトリ胎児細胞でよく増殖した。これらの結果は卵順化SeVに検出されたリーダー変異が弱毒化に確かに関与していることを示している。本研究はパラミクソウイルスのリーダー配列がウイルス病原性に関与することを初めて示したものであるとともに、今回検討したリーダー配列の塩基は直接あるいは間接的に宿主因子と相互作用することによってウイルスゲノムの転写複製の調節に関与していることを示唆している。以上の成果を2002年7月の第12回国際ウイルス学会(パリ)及びJournal of Virologyで発表した。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] Cheng Huang: "Involvement of the zinc-binding capacity of Sendai virus V protein in viral pathogenesis"Journal of Virology. 71(17). 7834-7841 (2000)
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[Publications] Yutaka Fujii: "Conserved and non-conserved regions in the Sendai virus genome : evolution of a gene possessing overlapping reading frames"Virus Genes. 22(1). 47-52 (2001)
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[Publications] Katsuhiro Kiyotani: "Attenuation of a field Sendai virus isolate through egg-passages is associated with the impediment of viral genome replication in mouse respiratory cells"Archieves of Virology. 146. 893-908 (2001)
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[Publications] 坂口剛正: "エンベロープウイルスのマトリックス蛋白とウイルスの出芽"ウイルス. 51. 11-19 (2001)
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[Publications] 福原徳子: "センダイウイルスV蛋白に高度に保存されたアミノ酸のウイルス病原性とRNA editingにおける重要性"広島大学医学雑誌. 50(1). 1-12 (2002)
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[Publications] Takemasa Sakaguchi: "Alteration of Sendai virus morphogenesis and nucleocapsid incorporation by the mutation of cysteine residues of the matrix protein"Journal of Virology. 76(4). 1682-1690 (2002)
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[Publications] Yutaka Fujii: "Involvement of the leader sequence in Sendai virus pathogenesis revealed by recovery of a pathogenic field isolate from cDNA"Journal of Virology. 76(17). 8540-8547 (2002)
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[Publications] Noriko Fukuhara: "Mutational analysis of the Sendai virus V protein : importance of the conserved residues for Zn binding, virus pathogenesis and efficient RNA editing"Virology. 299. 172-181 (2002)
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[Publications] Yutaka Fujii: "Identification of mutations associated with attenuation of virulence of a field Sendai virus isolate by egg passage"Virus Genes. 25. 189-193 (2002)
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[Publications] Takemasa Sakaguchi: "Recent Research Developments in Virology Vol. 3"Functinal divergence of the Paramyxovirinae accessory proteins : the V and C proteins. 341-348 (2001)