2002 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール代謝に影響する新たな遺伝因子に関する発展的研究
Project/Area Number |
12470106
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中村 二郎 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (10110751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 文夫 千葉大学, 医学部, 教授 (80164739)
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Keywords | アルコール依存症 / 離脱症状 / 遺伝的リスク因子 / GSTM1遺伝子 / NQO1遺伝子 / NQO2遺伝子 / 多型性変異 / 転写制御領域 |
Research Abstract |
これまで、アルコール離脱症状のうち幻覚、振戦譫妄および痙攣発作と関連する特定の遺伝子多型の探索を行ってきた。本年度は内因性神経毒性物質Aminochrome(o-quinone)を代謝する第II相解毒酵素であるGlutathione S-Transferase M1(GSTM1),NADH-Quinone oxidoredactase1(NQO1)およびNRH-Quinone oxidoredactase 2(NQO2)遺伝子の多型性変異と離脱症状との相関研究を行った。 (試料と方法)アルコール依存症患者のうち離脱症状を示した男性患者は振戦譫妄93例、幻覚49例、痙攣発作72例(重複を含む平均年齢:49.4±10.0歳)であった。対照群として成人男性134名(非常習飲酒者,平均年齢:49.7±6.1歳)を選んだ。なお、研究に先立ち被検者には研究の目的を説明し文書による同意を得た。NQO2のmRNA発現量を比較するため、末梢血中の有核細胞を用いてRT-PCR法によりcDNAを抽出し、これを用いて定量的PCRにより測定した。 (成績)GSTM1 deletionは大離脱症を示した群に多く検出されたものの有意差はなかった(P=0.075)。しかしながら、患者群にうち痙攣発作を示した群と示さなかった群との間ではDD型が新たに高い頻度で検出された(P=0.0032)。NQO1の多型性変異に関ついてはアルコール依存症との相関性は否定された。NQO2のプロモーター領域中の29bp基からなるI/D多型に関しては健常群との間での有意差か再確認された(P=0.0029)。同様に、遺伝子型により比較した場合、幻覚を示した患者群(P=00001)、振戦譫妄を示した患者群(P=0.0004)および痙攣発作を呈した患者群(P=0.0067)の頻度が対照群に比べてDD型頻度が有意に高かった。一方、末梢血有核細胞中におけるNQO2のmRNA発現量はII型の濃度はIDおよびDDに比べ有意に高いことが示唆された。この多型部位は転写因子Sp1が結合する配列(GGGCGGG)が4回反復して存在する領域であり、この部位の欠損は遺伝子の転写に影響を与える可能性を示唆する。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Okubo T, Harada S, Higuchi S, Matsushita S.: "Association Analyses between Polymorphisms of the Phase II Detoxification Enzymes (GSTM1, NQO1, NQO2) and Alcohol Withdrawal Symptoms"Alcohol Clin Exp Res.. 27(in press). (2003)
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[Publications] Okubo T, Harada S, Higuchi S, Matsushfta S.: "Investigation of quantitative trait loci in the CCKAR gene with susceptibility to alcoholism"Alcohol Clin Exp Res.. 26(8). 2s-5s (2002)
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[Publications] Itoga S, Nomura F, Harada S, et al.: "Tandem repeat polymorphism of the CYP2E1 gene : an association study with esophageal cancer and lung cancer"Alcohol Clin Exp Res.. 26(8). 15s-19s (2002)
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[Publications] 原田勝二: "日本人のアルコール代謝酵素の遺伝的多型"最新医学. 57. 104-114 (2002)
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[Publications] 原田勝二: "アルコール依存症と関連するADHとALDH"分子精神医学. 2. 15-23 (2002)