2000 Fiscal Year Annual Research Report
分裂病の注意変換課題の処理に関わる脳内神経回路の研究
Project/Area Number |
12470195
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西川 隆 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60273629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 仰 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50294054)
篠崎 和弘 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40215984)
武田 雅俊 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
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Keywords | PET / 脳機能賦活 / SPM |
Research Abstract |
本研究の最終的な目標は、分裂病患者の注意機能を時間・空間分解能の高い機能画像検査を用いて行うことであるが、それに先立って注目すべき局所脳領域を特定するために、今回は健常者を対象にPET賦活検査を施行した。 患者を対象とする場合、患者群全体の検討だけでなく個々の患者毎の検討をする必要性も生じることを想定し、ひとりの被験者単独で可能なPET手順を確立した。統計学的な観点から測定の繰り返し数を多くするために、1回の測定に要する放射線量の少ない三次元収集法を採用した。また、躯幹からの放射線を遮蔽し、頭部からの信号のみを収集するためのシールドを用いた。実際には、毎回の測定の際、酸素15で標識した水H2Oを、8mClの時点から37秒かけてセミボーラスとして静脈内に注入し、それを1人の被験者あたり12回繰り返した。 得られたPETデータの処理には、今回導入したWorkstation;Sun Blade1000と統計学的画像処理ソフトであるStatistical parametrical mapping(SPM99 software)を用いた。後に述べるような認知心理課題による局所脳血流量の変化の検討において、p<0.01の有意水準であれば、1人の被験者でも有意な結果が得られることが示された。複数の被験者群の検討では、ひとつの課題につき6〜8人を対象とし、p<0.001を有意水準として設定した。 認知心理課題として、相貌写真、文字、非言語音を用いた課題を作成した。相貌課題は1人、文字と非言語音の課題はそれぞれ8、6人の健常被験者を対象として、PET賦活試験を施行した。今回特に注目しているStroop課題による先行研究で報告されている領域のうち、帯状回、下頭頂小葉や側頭葉底面などが、われわれの検討でも賦活された。これらのことを踏まえて、分裂病患者を対象としたより適切な注意課題を、Stroop課題を基に現在作成中である。
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