2002 Fiscal Year Annual Research Report
分裂病の注意変換課題の処理に関わる脳内神経回路の研究
Project/Area Number |
12470195
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西川 隆 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60273629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠崎 和弘 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40215984)
武田 雅俊 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00179649)
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Keywords | PET / 脳機能賦活 / SPM / 注意 |
Research Abstract |
本年はこれまでに引き続き、注意機能を時間・空間分解能の高い機能画像検査を用いて検討することを目的として、神経心理学的課題を作成・検討した。 PET賦活試験については、1回の測定に要する放射線量の少ない三次元収集法を採用した。また、躯幹からの放射線を遮蔽し、頭部からの信号のみを収集するためのシールドを用いた。得られたPETデータの処理には、統計学的画像処理ソフトであるStatistical parametrical mapping (SPM99 software)を用いた。複数のサブトラクションの結果をさらに比較する方法として、mask(共通の賦活領域を抽出する"inclusive"と、お互いの差分を抽出する"exclusive")も用いた。 心理課題として動画を用いた課題を作成し、15人の右利き健常被験者を対象として、PET賦活試験を施行した。被験者にとって印象が弱く退屈な動画を反復して提示した場合の、局所脳血流の変化を検討した。同時に被験者には、課題の度に退屈さの程度をVisual Analogue Scale (VAS)を用いて主観的にratingするよう求めた。PETの結果として、課題が反復されるに従い、前頭葉内側の血流の優位な増加がみられた。逆に反復とともに血流の減少がみられたのは、両側の視覚連合野であった。一方、VASの検討では、課題の反復による有意な変化はみられなかった。前頭葉内側の所見は、課題を遂行する際の注意あるいは集中力の程度、または、退屈な状況での不快感などに関与することが推測される。また、主観的なレベルで明らかな変化がない場合でも、脳内の神経基盤のレベルではダイナミックな変化が生じ得ることが示唆された。 次年度では、分裂病患者を対象としたPET賦活試験の結果と、これまでの健常被験者での結果を踏まえて、分裂病患者の注意機能について検討していく予定である。
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Research Products
(1 results)