2001 Fiscal Year Annual Research Report
β切断へのシフトとアミロイドβ蛋白産生機構に関する生化学的分子生物学的研究
Project/Area Number |
12470197
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
深津 亮 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (10113614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 浩一 北海道工業大学, 工学部, 助教授 (90177915)
続 佳代 札幌医科大学, 医学部, 助手 (60207420)
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Keywords | アルツハイマー病 / APP / Aβ / β切断酵素 / β切断酵素抗体 / β切断酵素発現 / 免疫病理学 / 分子生物学 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)脳には、アミロイド前駆体蛋白(APP)から分解処理を受けてアミロイドβ蛋白(Aβ)が産生され、凝集・沈着する過程が最も重要である。Aβ産生には、α切断からβ切断へのシフトが想定される。最近、β切断酵素が同定されたことから本研究では、以下の検討を行った。 I.遺伝子導入筋細胞におけるβ切断酵素とAβ産生に関する検討: 1.遺伝子導入と細胞培養:wild type(APP770)、mutant type APP遺伝子(British type、Dutch type、Swedish type)を導入し強制発現させた培養細胞において、以下の結果を得た。 1)β切断酵素、APP遺伝子のmRNAをRT-PCR法によって定量した。遺伝子導入前の培養細胞と比較すると、APP遺伝子の発現量は増加を示していた。β切断酵素についてもmRNAの発現量には増加傾向が認められたが、測定手技を安定させるべく方法を検討している。 2)Aβ量ならびにAβ分子種(Aβ42、Aβ40)をELISA、Western blotによって定量を試みている。感度の点で十分ではないが、Aβの量が増加傾向を示し、また分子種ではAβ42が増加している傾向が認められた。重要な知見と考えられるので確認中である。 3)β切断酵素、APP蛋白、Aβ、ならびにPS1蛋白の細胞内局在を免疫病理学的に検討を加えた。抗β切断酵素抗体は予想されるアミノ酸配列(502aa)からN末端、中間部分、C末端部分に特異的な抗体を樹立した。それぞれ特有の局在が認められた。 4)β切断酵素、APPからAβ生成に至る細胞内処理過程の生化学的検討:a)β切断酵素の定量 c)ウエスタン・ブロット法による細胞画分におけるAPP断片については検討中である。 II.β切断酵素遺伝子ノックアウト培養筋細胞の樹立:ジーンターゲティングにより培養細胞のβ切断酵素遺伝子ノックアウトすることを試みている。細胞の選択が極めて困難であり、mRNA量を測定して確認すると、発現がみられるため方法論的検討を行っている。
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[Publications] Tsuzuki K, Fukatsu R, et al.: "Transthyretin binds amyloid β peptides, Aβ1-42 and Aβ1-4O to form complex in the autopsied human kidney -possible role of transthyretin for Aβ sequestration-"Neuosience Letters. 281. 171-174 (2000)
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[Publications] 深津 亮, 続 佳代, 他: "Nasu-Hakola病に認められるアルツハイマー病変に関する検討-アミロイド変化の生化学的、免疫病理学的検討-"Neuropathology. 20. 154 (2000)
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[Publications] Tsuzuki K, Fukatsu R, et al.: "Prion protein is colocalized in amyloid βprotein aggregates in the rimmed vacuoles of chloroquine myopathy in rat"Neuroscience Letters. (in press). (2002)
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[Publications] Fukatsu R, Tsuzuki K, et al.: "Alzheimer's senile pathology observed in Membranous Lipodystrophy (Nasu-Hakola disease)"Brain Pathology. 10・4. 516 (2000)
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[Publications] Fukatsu R, Tsuzuki K, et al.: "Cultured myocyte systems under chloroquine as an experimental model to study APP, PS-1 processing for Aβ production"Brain Research. (in press). (2002)
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[Publications] Nakano N, Hatakeyama Y, et al.: "Eye-Head Coordination Abnormalities and Regional Cerebral Blood Flow in Alzheimer's Disease"Prob Neuro-Psychopharmacol & Biol Psychiat. 23. 1053-1062 (1999)
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[Publications] 深津 亮, 続 佳代: "IV 病因・形態 「臨床精神医学講座」special issue 第9巻 アルツハイマー病"松下正明 総集編 三好好峰, 小坂憲司 責任編集 中山書店 東京. 12 (2000)