2000 Fiscal Year Annual Research Report
骨成長のメカニズム:成長軟骨の増殖と細胞死に関する研究
Project/Area Number |
12470220
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
清野 佳紀 岡山大学, 医学部, 教授 (80028620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 良孝 岡山大学, 医学部・附属病院, 医員
井上 勝 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (20253023)
田中 弘之 岡山大学, 医学部, 助教授 (80231413)
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Keywords | 軟骨細胞 / 軟骨無形成症 / bcl-2 / IGF-I / PTHrP |
Research Abstract |
軟骨細胞の増殖分化の詳細を明らかにするために、軟骨の分化異常である軟骨無形成症の変異を作成し、軟骨の性質を有する二種の細胞株に強制発現させ、分化過程、細胞内情報伝達機構について検討した。使用した細胞株はマウス由来のATDC5とラット軟骨由来のCFK2である。軟骨無形成症はFGF受容体3の恒常的活性化変異であり、最重症型のthanatophoric dysplasiaから軽症型hypochondroplasiaまで同一の遺伝子の異なる変異で生じる。これら3種の変異を作成し、細胞増殖をthymidineの取り込みで観察した。さらに、IGF-Iの効果についても検討を加えた。TDIIは野生型FGFR3を強制発現させたものに比して約60%程度の増殖能を示した。さらに、TDIIではapoptosisの増加、bcl-2発現の低下を認めた。このような細胞に対してIGF-Iを添加したところ、細胞増殖能は部分的に回復し、apoptosisの抑制、bcl-2発現の回復が観察された。これらのIGF-Iの効果は、PI3 kinaseの活性化とMAPKの活性化を介しており、FGFR3の変異によって引き起こされる細胞内情報伝達系の異常とは独立した事象であることが明らかになった。さらに、この様にして作成した変異パネルを利用して、疾患重症度とPTHrPの発現状態は逆の関係にあり、重症度の高い変異ではPTHrP遺伝子発現は低下していた。これに伴い、軟骨分化の最終段階に発現してくるtype Xコラーゲンの遺伝子発現も重症度の高い変異では増加しており、軟骨細胞の分化異常は、軟骨分化の異常な促進であることが明らかになった。このことは、PTHまたはPTHrPが軟骨異常症の治療に有効であることを示唆している。モデルマウスを遺伝子導入によって作成中で、これによって疾患治療への応用についての検討が可能となる。
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[Publications] Hidemi Kanazawa: "The effect of calcium-sensing receptor gene polymorphisms on serum calcium levels : A familial hypocalciuric hypercalcemia family without mutation in the calcium-sensing receptor gene"Endocrine Journal. 47. 29-35 (2000)
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[Publications] Kunihiko Aya: "Novel mutation in the nephrin gene of a Japanese patient with congenital nephrotic syndrome of the finnish type"Kidney International. 57. 401-404 (2000)
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[Publications] Masaru Inoue: "Altered biochemical markers of bone turnover in humans during 120 days of bed rest"