2001 Fiscal Year Annual Research Report
末期的心不全患者の外科治療、特に心臓移植の成績向上を目指した遺伝子治療の開発
Project/Area Number |
12470274
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Research Institution | OSAKA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
福嶌 教偉 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30263247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 元延 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90291442)
澤 芳樹 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (00243220)
大竹 重彰 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (50243209)
鍵崎 康治 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30335351)
松宮 護郎 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20314312)
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Keywords | 心臓移植 / 遺伝子導入 / 重症心不全 / nFk B decoy / 臓器保存 / HVJ liposome / 再灌流障害 |
Research Abstract |
2年度にわたり遺伝子導入法を応用して心保存効果を向上させる実験を施行した。具体的には、nFkB-decoyを遺伝子導入して虚血耐性効果があるか否かを検討し、decoyを用いた新しい保存法の開発を行った。 【方法】SDrat心を摘出してEuro-Collins液内で16時問浸漬保存後、Langendorf灌流し、心機能を検討した。群として、nFkBの結合部位に対するcis-element decoy ODNを遺伝子導入した群(D群)、何も導入せずに保存した群(C群)とした。D群では、HVJリポゾーム法を用いてラット摘出心にnFkBの結合部位に対するcis-element decoy ODNを導入した。Langedorf灌流下の心機能並びに、灌流終了後の白血球集積、IL8の発現、水分含有量を測定した。 【結果】心保存後のLangendorf灌流下の心機能(LVDP、dp/dt、冠還流量の前値との比)を測定すると、何れもD群がC群に比し有意に良好であった。心筋内の白血球集積、IL8の発現、水分含有量は、何れもH群がC群に比して有意に低値であった。 【考察】以上の結果より、HJVリポゾーム法を用いることにより、心保存中にdecoyが心筋細胞に導入され、白血球集積、IL8の発現等の再灌流に伴う炎症を軽減し、水分含有量の減少並びに心機能の改善を認めた。これまでの遺伝子導入法では、虚血・再灌流障害に関係する蛋白の遺伝子を導入する研究が主であったが、その場合には蛋白が発現するまでに時間を要し、保存中・再灌流中には十分な量の蛋白が発現されないために、効果が期待されないため、臨床応用可能な遺伝子導入法による虚血耐性獲得法はなかった。そこで本研究では、保存中・再灌流時に発現して障害を及ぼすような物質であるnFkBを抑制するような核物質であるdecoyを導入し、保存中・再灌流中に効果が発揮されるか否かを検討し、有用であることが判った。今後、decoyを用いることにより新しい保存法が開発されることが期待された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 福嶌教偉: "心移植における保存:安全保存時間の延長と心停止ドナー利用の可能性について"日本臨床生理学会雑誌. 31・2. 79-85 (2001)
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[Publications] 福嶌教偉: "臨床応用を目指した長時間浸漬心保存実験"治療. 83・6. 126-127 (2001)
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[Publications] 澤 芳樹: "遺伝子導入による再灌流障害の抑制"医学のあゆみ. 196/13. 922-928 (2001)
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[Publications] Sakaguchi T, et al.: "A Novel strategy of decoy transfection against nuclear factor-kB in myocardial preservation"Ann Thorac Surg. 71. 624-630 (2001)
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[Publications] Kobayashi Y, et al.: "Effects of gene transfection of human bcl-2 on concordant cardiac xenografts in hamster to rat model"Jpn J Thorac Cardiovasc Surg. 49・9. 570-577 (2001)