2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12470278
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Research Institution | St. MARIANNA UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
長田 博昭 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (90121178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚田 久嗣 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (60308476)
井上 肇 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (60193603)
横手 薫美夫 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (40174859)
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Keywords | 人工気管 / 気管再建 / 気管再生 |
Research Abstract |
ダクロン素材全長に穿孔加工を施し、内腔保持のためスパイラル状金属ステントを内挿したporous typeの人工気管を開発し、大型犬の胸腔内気管移植実験を重ねてきた。このモデルでは、移植時に大網を人工気管全体に被覆することで、穿孔加工部からの空気漏れを防止すると同時に、大網から人工気管内腔への肉芽侵入と、その肉芽上に吻合部生体気管からの気道上皮誘導を企てた。その結果、移植後約1ヶ月で肉芽がステントを含め人工気管内腔全体を被覆、術後2〜3ヵ月でその肉芽上に気道上皮誘導を確認することができた。それによりこれまで人工気管の問題点とされてきた吻合部狭窄や人工気管内腔の感染も無く、約2年に亘る生着が再現性をもって観察できるに至った。そしていくつか試作した多孔化人工気管のうち、穿孔径500μm、穿孔密度64ヶ/cm^2が有効であることがわかった。しかし組織学的検討では、人工気管素材周囲には異物反応のため、常に炎症性細胞浸潤があり、そのため人工気管内腔が上皮化しても、素材と接した部分では組織の繊維化が進行し、しいては人工気管内腔の狭窄へつながる事が判明した。一方で、移植した人工気管周囲には気管壁を構成すべく結合組織が大網によりしっかりと形成されていることも判明した。 次に、組織工学手法を導入し、培養線維芽細胞をフィブリングルーに入れ、人工気管に付着させたハイブリットタイプの人工気管を作成し、これを移植した。組織侵入速度に有意な差は無いが、この系においても1年を越える長期生着が再現性をもって観察できるに至った。 ハイブリット化の意義は人工気管内腔が全長にわたり上皮化するまでの間、感染や異物反応を極力抑制することにあると考えられる。現在、線維芽細胞以外に気道上皮、血管内皮を培安定して継代培養出来る様になった。今後はこれらの細胞を層状構造とした人工気管へと発展させてゆく。
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