2000 Fiscal Year Annual Research Report
増殖・アポトーシス関連遺伝子発現からみた前立腺肥大症の発症病理に関する基礎研究
Project/Area Number |
12470328
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鈴木 和浩 群馬大学, 医学部, 講師 (80312891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯浅 久子 群馬大学, 医学部, 助手 (50240148)
深堀 能立 群馬大学, 医学部, 講師 (90199167)
山中 英壽 群馬大学, 医学部, 教授 (70110393)
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Keywords | 前立腺肥大症 / マイクロダイセクション / T7 RNA増幅法 / DNAマイクロアレー |
Research Abstract |
前立腺は組織学的に上皮と間質から構成されている。前立腺肥大症はヒト前立腺の良性過形成であるが、組織学的には線維筋性の過形成を呈する。我々は、前立腺肥大症の成因を上皮と間質の相互作用から考え、特にそれぞれの成分の増殖およびアポトーシスのバランスから捉えようと試みている。今回の研究では、ヒト前立腺組織におけるステロイドホルモンに関連する遺伝子発現を上皮と間質に分けて検討することと、上皮および間質からの非常に微量なサンプルをDNAマイクロアレーに応用するためのRNAの増幅(T7RNA増幅法)の基礎的検討およびDNAマイクロアレーの立ち上げのための基礎実験を行った。 Microdissection法により上皮および間質は容易に採取可能であり、androgen receptor, estrogen receptor α、β、progesterone receptor, 5α-reductase I,IIの遺伝子発現をnested-PCRにより検討した。いずれの遺伝子も上皮および間質において発現を認めた。DNAマイクロアレーには10μg程のtotal RNAが必要であり、このmicrodissectionにて得られる量では反応が不可能であるため、T7 RNA polymeraseを利用したRNA増幅法の基礎的検討を行った。一回の反応で約10倍の量のRNAを得ることが可能であった。これを2回および3回行い、RNAの量を増やす工夫をしているが、質の変化を若干伴うため、そのoptimal conditionの決定が重要で、現在、Megascriptキットの使用によりほぼ安定して増幅が可能である。 前立腺癌細胞(LNCaP,PC-3,DU-145)から得られたRNAを使用しマイクロアレーの検討を行った。Cy-3およびCy-5をラベルし、チップにハイブリダイズさせた。約500種類の既知のcDNAの配置したCancer chip(TAKARA Co.)を使用し、約20種類ほどの遺伝子で約2倍以上のシグナルの差を認めた。また、前立腺癌治療において使用されるdiethylstil bestrol(DES)の処理によりcyclin系の遺伝子発現などに差を認めるなど、薬剤処理により変動する遺伝子群が判明した。今後は、この手技をmicrodissectionによりえら得た少量のサンプルを増幅したものに応用し局在を含めた、遺伝子発現の変化を体系的、網羅的に検討することが大きな課題である。
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