2000 Fiscal Year Annual Research Report
要介護高齢者の口腔内細菌による各種全身疾患の発症予防に関する研究
Project/Area Number |
12470405
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
福島 正義 新潟大学, 歯学部・附属病院, 講師 (30156773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武井 典子 (財)ライオン歯科衛生研究所, 研究員
竹中 彰治 新潟大学, 歯学部・附属病院, 助手 (50313549)
石崎 裕子 新潟大学, 歯学部・附属病院, 助手 (60303161)
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Keywords | 要介護高齢者 / 口腔内細菌 / 口腔ケア / 全身疾患 |
Research Abstract |
わが国では人口の高齢化の進展とともに介護を要する高齢者も急増し、寝たきり、痴呆および虚弱を合わせた要介護高齢者の数は2000年には280万人、2025年には倍近い520万人に達するものと見込まれている。これらの高齢者は基礎疾患をもちながら、それに加えて全身の運動・生理・免疫機能等の低下により、薬剤耐性菌や常在菌等の感染症にかかりやすい状態におかれており、口腔常在菌は口腔と直結している消化器系や呼吸器系をはじめとして、歯周ポケットや根尖病変などから血行性に他臓器へ影響を与えるといわれている。したがって、要介護高齢者における口腔内細菌のコントロールは単に齲蝕や歯周病の予防だけでなく、全身疾患の予防として極めて重要である。我々はこれまで、一般の介助者が要介護高齢者に対して安全かつ容易に行える口腔清掃法の開発を進め、誤嚥を避けるための吸排水が自動的に行える電動ブラシ(デント・エラック給吸ブラシ910、ライオン歯科材(株)製、以下給吸ブラシと呼称)を考案し、多数歯を有する要介護高齢者に対し継続的に使用を試み、その有効性を確認した。今回は口腔粘膜付着微生物への対応のために給吸ブラシ用の粘膜ブラシを考案し、無歯顎または多数歯欠損で義歯を有する要介護高齢者に2週間、平日に継続して使用するとともに、義歯洗浄剤を使用して義歯清掃を行った。その効果を簡易的にカンジタ菌の菌種を識別できるクロムアガーカンジタ(BD Biosciences製)を使用して確認した。その結果、平日5日間継続して粘膜清掃および義歯清掃を行うことによって、カンジタ菌数が減少する傾向が認められた。しかし、週末に粘膜清掃が中断されると増加傾向が認められ、清掃が継続されると再び減少した。以上のことからカンジタ菌が検出された要介護高齢者に対しては、毎日の粘膜および義歯清掃が必要であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)