2000 Fiscal Year Annual Research Report
歯科治療の診断・予後における遺伝子情報の有用性-細胞死を規定するテロメアの解析-
Project/Area Number |
12470414
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
粂井 康宏 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (30161714)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 啓介 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (80227785)
小林 千尋 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80126226)
小林 賢一 東京医科歯科大学, 歯学部・附属病院, 講師 (00170316)
|
Keywords | テロメア / 老化 / 遺伝子情報 / DNA / 組織再生 |
Research Abstract |
歯科治療の予後は患者の歯髄・歯周組織・歯槽骨の状態,すなわちそれらの組織の生物学的活性あるいは組織再生力によって大きく影響、さらに個々の細胞の寿命に規定される。正常な体細胞では、加齢にともなって細胞分裂を繰り返しているうちに、テロメラーゼによって、テロメア末端が短くなり、次第に老化する。細胞よりゲノムDNAを抽出し、テロメア配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーションによってテロメア長の測定が可能となる。本年度は、まず培養細胞を用いて、実験条件の至適化を行った。ヒトWI38株細胞からゲノムDNAを抽出し、制限酵素Hinfで切断し、アガロースゲル電気泳動した後、脱プリン処理を行った。続いてDNAをナイロンメンブレンにブロットし、アルカリホスファターゼで標識したプローブ(60merの1本鎖テロメア配列DNA)を用いてサザンハイブリダイゼーションを行った。メンブレンを洗浄した後、発光させ、オートラジオグラフィーにより検出した。その結果、同細胞について5x10^5個の細胞から30μgのDNA総量が抽出され、これを用いて細胞テロメア長を検出することができることが確認された。次に本研究実施に必要なサンプル採取条件について予備検討を行うため、口蓋粘膜より自然剥離した細胞を回収する作業を行った。日常行っている程度で1分間ブラッシングを行った後、使用した歯ブラシを生理的塩類溶液中で撹拌・振動させることによって歯ブラシに付着した約5x10^5個の粘膜上皮細胞を回収することができた。このことは、すなわち簡単なブラッシングによってテロメア長解析に十分な数量の粘膜細胞を得ることができることを意味する。また1本の歯牙から抜去した歯髄には同程度の数の細胞が含まれることがわかっており、テロメア長を解析するために必要な数の歯髄細胞を供給することが可能であることが確認された。
|