2001 Fiscal Year Annual Research Report
TCPシートのレーザアブレーションによるエナメル質の再石灰化
Project/Area Number |
12470465
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
秋山 哲夫 奥羽大学, 歯学部, 講師 (20083404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮澤 忠蔵 奥羽大学, 歯学部, 教授 (70083441)
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Keywords | エナメル質 / 再石灰化 / TCPスラリー・シート / レーザアブレーション |
Research Abstract |
実質欠損に及ぶ初期う蝕をリン酸カルシウムの薄膜で覆い、紫外域のエキシマレーザによるレーザアブレーションとそれに伴う光化学反応,その後の唾液浸漬による再石灰化を解析した。ヒト抜去大臼歯エナメル質から,厚さ約3mmの試料片をそれぞれ2片ずつ作成した。この試料片を乳酸緩衝液(0.1M,0.3mM-HAp, pH4.5)中に4時間浸漬して脱灰エナメル質を作成した。TCPシートは,サブミクロン粒子のα-第三リン酸カルシウム(以下TCPと略す)のスラリーとポリエチレングリコールから50および75μmの厚さに作成した。このTCPシートを試料片の脱灰部位に密着させ,その上からKrFエキシマレーザ光(248nm)を照射した。照射エネルギーは80および120mJ(2,000shots)とし,照射エネルギーとTCPシート厚さを[0mJ,0μm],[80mJ,50μm],[80mJ,75μm],[120mJ,50μm],[120mJ,75μm]の5条件の群とした。同一歯から2片の試料片を作成し,その1片は照射,他片はさらに人工唾液浸漬を行った。被覆層の厚さは,使用するTCPシートの厚さに依存するが,約50μmに達した。被覆層の結晶構造は,レーザアブレーションのみでHApをはじめ複雑なリン酸カルシウムの混在を認めた。これらを人工唾液浸漬することによってTCPとHApの結晶に絞られ,被覆層のなかで再石灰化反応の進行が強く示唆された。硬度は,レーザアブレーションで群間に有意差(P<0.001/one-way ANOVA)が認められた。なかでも,照射エネルギーが80mJでシート厚さ50μm群が対照群と比較し,硬度の回復が認められた。耐酸性は,レーザアブレーションと人工唾液浸漬の両方に有意差(P<0.0001/one-way ANOVA)が認められた。なかでも,照射エネルギーが80mJでシート厚さ50μm群が対照群に比較し,高い耐酸性の付与効果が認められた。
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