Research Abstract |
成人を対象とした歯周病のリスクファクターに関する総合的調査を,中垣と雫石が実施した。すなわち,中垣は,人間ドック受診者7,452名の血液検査所見と歯周病態との関係を分析し,白血球数,CRP,グリコヘモグロビンA1Cの増加など感染,炎症,血糖上昇を示す指標と歯周病との関連を示した。雫石は,年齢層の異なる男性従業員456名を解析し,年齢層により歯周病に関連するライフスタイル要因が異なることを示唆した。また,若年者,特に侵襲性歯周炎のリスクファクターについて,庄司が実施した。その結果,侵襲性周炎患者では,健常者と同じTH1/Th2比を示すものと示さない2つのグループに分けられることを示した。次に,局所的リスクファクター,すなわち,異常咬合や習癖は,鈴木が,特にBruxismは,坂上が,口呼吸は,内藤が,それぞれ担当し研究を進めた。すなわち,鈴木は,歯周ポケットの分布と咬合接触状態,習慣性咀嚼側の関連性を検討中である。坂上は,Bruxismを独自に開発した電子機器により精密に診断し,歯周組織の破壊状態との関連性を評価中である。内藤は,重度の歯周炎患者において併発する口呼吸について,まず,学童の口腔内所見と歯周病所見および口呼吸の判定として重要な鼻呼吸の分類データを採取し,分析中である。全身的リスクファクター,すなわち,糖尿病は,萩原が,精神的ストレス,喫煙,飲酒,食生活は,雫石が,特に骨粗鬆症は,稲垣がそれぞれ担当し,総合的疫学研究を進めている。萩原は,成人の糖尿病患者と非糖尿病患者各100名を調査し,喫煙習慣が歯周病に影響していることが示した。稲垣は,成人の骨粗鬆症と歯周病との関連について調査し,骨粗鬆症に関する自覚症状がなくても定期的な骨粗鬆症検診が必要であり,歯周病罹患者では,一般のスクリーニング以上に検出率が高く,その進行と骨粗鬆症の病態との関連性を示唆している。
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