2000 Fiscal Year Annual Research Report
血管病変における血球と血管内皮細胞との相互作用の研究
Project/Area Number |
12470530
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
渡邊 清明 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (20101983)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川合 陽子 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00129727)
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Keywords | Mel-CAM / Eセレクチン / 接着因子 / 血管内皮細胞 / 血流 / 内皮細胞障害 / リポポリサッカライド(LPS) / 腫瘍壊死因子(TNF) |
Research Abstract |
血管内皮細胞が血栓形成に果たす役割は大きい。近年、動脈硬化症は炎症性変化のひとつであることが注目され、血管内皮細胞と白血球との相互作用の血栓形成における役割が重要と考えられてきた。われわれは、炎症性サイトカインと血流の両者が血管内皮細胞上の血栓制御因子の変化に中心的役割を担っており、血小板・凝固・線溶に係わる様々な因子を遺伝子レベルでたくみに制御する機構を解明してきた。また、血球と血管内皮細胞の相互作用による血栓性への変化には、接着因子の関与も重要であることに着目し、血管内皮細胞膜上に発現している接着因子であるEセレクチンやMel-CAMの動態をヒト鼻粘膜微小血管内皮細胞を抗原として作成したモノクローナル抗体を利用し検討した。ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)を培養し、モノクローナル抗体を用いた免疫組織法による観察では、Eセレクチンは静止時未刺激では発現は殆ど認められず、TNFやLPS刺激後3〜6時間で発現が増強した。一方Mel-CAMは静止時未刺激でも発現が強く認められ、TNFやLPS刺激後の変化は軽度であった。ELISA法による抗原量の変化の測定では、TNFやLPS刺激後のMel-CAMの細胞内発現量は殆ど変化しないが、培養上清中の放出が増大した。HUVEC膜上の発現をレーザーフローサイトメトリーにて測定したところ、TNF刺激で発現が増加したがLPS刺激では発現の増加が認められなかった。これらの変化を血流は抑制する方向に作用し、ヒト末梢血単核球は増強する方向に作用した。単核球と血管内皮細胞との相互作用には、サイトカインや接着因子などの関与が重要と思われた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Sonoda A,Takeshita E,Watanabe K, et al.: "Association between platelet glycoprotein Ibα genotype and ischemic cerebrovascular disease."Stroke. 31(11). 493-497 (2000)
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[Publications] 渡辺清明: "イラストで見る凝固・線溶系のしくみ;血液疾患診療マニュアル"日本医師会雑誌特別号 生涯教育シリーズ54. 124. S4-S6 (2000)
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[Publications] 渡辺清明: "凝固・線溶検査 検査の目的と意義"検査と技術. 28. 827-829 (2000)
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[Publications] 渡辺清明: "止血血栓領域における診断と検査の進歩"Annual Review血液2000. 252-258 (2000)
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[Publications] 川合陽子・渡辺清明: "血管内皮細胞障害の分子マーカー"Medical Practice. 17(2). 270-271 (2000)