2000 Fiscal Year Annual Research Report
患者が安心できる車椅子移送-ヒトの感覚感性変化の生体力学、視野・視線解析を通して
Project/Area Number |
12470533
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
水谷 都 新潟大学, 医学部, 講師 (20115075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 利昭 新潟大学, 工学部, 教授 (50134953)
成澤 幸子 新潟大学, 医学部, 助手 (90172585)
倉島 幸子 新潟大学, 医学部, 助手 (30161730)
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Keywords | 車椅子移送 / 感覚感性 / 生体力学 / 視野・視線解析 / 看護技術 |
Research Abstract |
文献検索および患者への聞き取り調査から、本年度は、移送路条件のひとつである段差に注目した測定システムの開発と基礎実験を行い、患者が痛み等を感ずることなく車椅子での移送が可能な方法を検討する上での基礎的知見として以下を得た。 1.段差通過にともなう車椅子の挙動解析 (1)研究方法 実験方法:移送者として臨床経験5〜10年の看護婦10名および看護学生6名を考慮。学内演習室に高さ5mm、幅40mmの段差を設置。被移送者にはヒトの意思や感覚による影響を避けるためにヒト型ダミーを採用し、看護婦の患者移送の感覚を再現するために腹部に重りを入れた。普通型車椅子を使用し、移送速度は歩行テンポ60,90,120歩/分の三段階、移送者の任意速度で普段通りと急ぐ場合を設定。各速度において極めて慎重にする場合と通常通りに移送する場合を考慮。段差の通過方法は各移送者の任意。測定方法:多方向同時ビデオ撮影法、DLT(Direct Linear Transformation)法を用いて車椅子の正確な移動方向・移動速度を把握。三軸加速度計を車椅子座面下に設置し生じる振動を測定。車椅子振動の伝達状況を把握するため感圧導電体をダミー臀部に取り付け座面との接触圧力を測定。(2)結果および考察 看護婦が行った段差通過法には「ティッピングレバーを踏みキャスターを浮かせて段差を乗り越え、次にハンドルを持ち上げて駆動輪が段差を乗り越えるようにする」方法(浮かせ法)と「キャスターを浮かせることなく減速のみで段差を乗り越えた後、ハンドルを持ち上げて駆動輪が段差を乗り越えるようにする」方法(減速法)があり、解析の結果、(1)減速法では段差通過速度が車椅子振動に大きく影響している、(2)段差での車椅子振動は浮かせ法で少なくなる、(3)車椅子振動は乗車者に伝導しており、病人に何らかの影響を与える怖れがある、等が明らかになった。なお、これらは日本機械学会および日本看護科学学会に発表した。 2.腹部手術患者の段差通過時における感覚感性の解析 対象は消化器系手術患者39名。官能検査から、病棟廊下にある防火壁敷居(段差)通過時には、創部疼痛の増強が有意差をもって認められている。移送速度等は現在解析中。
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