2001 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル・プロジェクトの比較研究-グローバル資本の政治経済とグローバル文化-
Project/Area Number |
12490014
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
伊豫谷 登士翁 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (70126267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉見 俊哉 東京大学, 社会情報研究所, 教授 (40201040)
山之内 靖 フェリス女子大学, 大学院国際交流学部, 教授 (60014429)
坂元 ひろ子 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (30205778)
岩崎 稔 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10201948)
遠藤 誠治 成蹊大学, 法学部, 教授 (60203668)
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Keywords | グローバリゼーション / グローバル・カルチャー / 総動員体制 / 冷戦体制 / シチズンシップ / 多文化主義 / ジェンダー / 移動 |
Research Abstract |
今年度の研究テーマは、(1)時代としてのグローバリゼーションと、(2)グローバリゼーション研究の政治経済分析と文化分析との接合の、二点であった。前者に関しては、二十世紀論の中で提起された世界戦争と高度成長の二つの遺産とのかかわりから、グローバリゼーションをいかに描きうるのかをめぐって論点の整理を行ってきた。さらに、9月11日の世界貿易センタービル攻撃以降のグローバリズムとナショナリズムのかかわりを取り上げてきた。後者に関しては、グローバリゼーションを考察する起点として、1960年代から90年代までのずれが明確となり、政治・経済・文化の各領域における研究の焦点の差異が明らかになった。 研究会やワークショップとしては、4月にS.サッセンの来日に合わせて研究会を開き、グローバリゼーション研究とジェンダー研究をテーマとした意見交換をした(同報告は『思想』掲載予定)。7月に亀井秀雄、川村湊、岩淵功一、岩崎稔の4名はシドニー大学を訪問し、「日本・オーストラリアにおけるアジア認識」をテーマとするワークショップを開いた。亀井は、志賀重昂のオーストラリア訪問と南洋意識の形成を、川村は、植民地文学を、岩渕は、アジアにおける日本のポピュラー文化の浸透を、岩崎は日本の戦争責任を巡る議論を、各々取り上げて報告を行った。7月には、酒井直樹を招聘し、プロジェクトの打ち合わせと各分野におけるグローバリゼーション研究の状況に関する研究会を箱根で開催した。9月に、伊豫谷と葛西は、移民労働者の日韓比較および研究打ち合わせのため韓国を訪問した。11月には、伊豫谷、コッシュマン、姜は、オーストラリア国立大学において、「グローバリゼーションの政治経済」をテーマとするワークショップを開き、グローバリゼーション研究の方法ならびにプロジェクトの打ち合わせを行った。また11月には、I.アングを迎えたワークショップを開き、グローバル化とアジアについて議論した。 これらの研究を踏まえて、時代規定としてのグローバリゼーションをめぐって小研究会を開催してきており、その研究成果は来年度には出版することになっている。
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Research Products
(27 results)
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[Publications] 伊豫谷登士翁: "人の国際化:「外国人労働者」から「定住外国人」へ"論座. 2月号. 66-69 (2002)
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[Publications] 伊豫谷登士翁: "グローバリゼーション・国際化"世界. No.687. 92-95 (2001)
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[Publications] 山之内靖: "社会システム論と批判理論"現代思想. 2月増刊号. 72-85 (2001)
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[Publications] 山之内靖: "ポストコロニアリズムと近代批判"現代思想. 7月増刊号. 244-248 (2001)
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[Publications] 坂元ひろ子: "足のディスコース"思想. 907. 145-161 (2000)
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[Publications] 吉見俊哉: "グローバル化と脱-配置される空間"思想. No.933. 45-70 (2002)
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[Publications] 吉見俊哉: "「アメリカ」を欲望/忘却する戦後:「基地」と「消費」の屈折をめぐって"現代思想. 7月臨時増刊号. 44-63 (2001)
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[Publications] 安丸良夫: "「教科書問題」と現代日本"世界. No.696. 73-83 (2001)
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[Publications] 安丸良夫: "The Twentieth Century Japanese Experience"Hitotsubasi Journal of Social Studies. Vol.33, No.1. 5-20 (2001)
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[Publications] 亀井秀雄: "「近代」としての小説-坪内逍遙『当世書生気質』を中心に-"アジア文化研究(木浦大学校・アジア文化研究所). 5. 35-51 (2001)
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[Publications] 亀井秀雄: "日本文学における戦争と戦後"日本語文学(韓国日本語文学会). 10. 1-41 (2001)
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[Publications] 亀井秀雄: "日本文学における虚構と記憶-近代の場合-"日語日文学研究(韓国日語日文学会). 39. 31-42 (2001)
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[Publications] 大内裕和: "教育をめぐる対話"現代思想. Vol.29, No.14. 112-119 (2001)
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[Publications] 岩崎稔: "東アジア、戦後、新奇なる統治-畳み込まれている時空間-"現代思想. 7月臨時増刊増. 8-11 (2001)
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[Publications] 岩崎稔: "高速道路の犬のように?"現代思想. 11月臨時増刊増. 146-150 (2001)
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[Publications] 遠藤誠治: "グローバリゼーションの政治学的分析に向けて-国際政治と比較政治の交錯を可能にするために"国際政治(日本国際政治学会編). 128. 30-46 (2001)
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[Publications] 伊豫谷登士翁: "グローバリゼーションと移民"有信堂. 256 (2001)
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[Publications] 伊豫谷登士翁: "経済のグローバリゼーションとジェンダー 『経済のグローバリゼーションとジェンダー』所収"明石書店. 281(15-39) (2001)
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[Publications] 伊豫谷登士翁: "いま、日本でのシチズンシップを問うこと 『多文化社会の選択』所収"日本経済評論社. 305(55-67) (2001)
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[Publications] 坂元ひろ子: "やがて哀しい想像の台湾 『<台湾論>を超えて』所収"作品社. 212-214 (2001)
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[Publications] 姜尚中, 吉見俊哉: "グローバル化の遠近法"岩波書店. 230 (2001)
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[Publications] 姜尚中: "ナショナリズム"岩波書店. 161 (2001)
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[Publications] 成田龍一: "歴史学のスタイル-史学史とその周辺-"校倉書房. 410 (2001)
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[Publications] 亀井秀雄: "Western Elements in the Formation of Modern Japanese Literature : The Problem of the Protagonist and Structure "Canon and Identity"所収"Deutsches Institut fur Japanstudien. 206(61-75) (2001)
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[Publications] 岩渕功一: "トランスナショナル・ジャパン"岩波書店. 334 (2001)
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[Publications] 遠藤誠治: "ポスト・ウエストファリアの世界秩序へのアプローチ-グローバリゼーションと近代の政治秩序構想の再検討-『グローバル・ポリティクス-世界の再構造化と新しい政治学-』所収"有信堂. 238(27-48) (2000)
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[Publications] 遠藤誠治: "The Japanese State : Surviving Neoliberal Political Economy "The Political and Economic Transition in East Asia : Strong Market., Weakening State". 所収"Surrey. 281(112-135) (2001)