味覚センサの動的応答を利用した複合味の単一味情報(基本味)への分解と定量化

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12555116
• Research Institution: Kyushu University
• Principal Investigator: 都甲 潔 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 教授 (50136529)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 安達 利昭 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 学振特別研究員 ; 岩倉 宗弘 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 助手 (80325547) ; 林 健司 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 助教授 (50202263) ; 飯山 悟 近畿大学, 九州工学部・工業化学科, 教授 (80176057) ; 高木 想 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 学振特別研究員
• Keywords: 味覚センサ / 複合味 / 膜電位 / 膜インピーダンス / 過渡応答 / ニューラルネットワーク

Research Abstract

これまでの研究で,マルチチャンネル味覚センサは単一の味質については,定量化することに成功している。本研究では,このセンサを利用して,複合味を独立の単一味情報へ分解・定量化することを目指している。
生物がもつ脂質の官能基を有する複数種の脂質を用いて,脂質/高分子膜,脂質タンパク質複合膜,脂質タンパク質LB膜を作成し,これらをマルチチャンネル化したセンサシステムを作成した。このマルチチャンネル電極を用いて,5基本味(苦味,酸味,塩味,甘味,うま味)を代表する味物質の膜電位および膜インピーダンスを測定した。さらに,これらの基本味物質のうち任意の2つを混合し,同様に計測した。生物が味を受容する際,味質ごとにその応答時間に差があることに着目して,新たに各センサの過渡応答(先味,後味)による情報を取り入れることにより,複合味を単一味へ分解できる可能性を見いだせた。
今後,複合味から単一味へ分解した各味質の定量化および代表的味質以外(辛味,渋味)についても複合味の分解・定量化を試みるとともに,官能検査により実際にヒトの感覚との相関を確認する予定である。さらに階層型ニューラルネットワークを用い,測定結果と官能結果を学習させ,別途測定した複合味のデータからそこに含まれる味質の判別を試みる。

Research Products

• [Publications] K.Toko: "Recent Deveropment of Electronic Tongue and Nose"The International Conference Electrical Engineering. 452-455 (2000)
• [Publications] K.Toko: "Taste Sensor"Sensors and Actuators. B64. 205-215 (2000)
• [Publications] M.Habara: "Discrimination of Saltiness with Coexisting Components Using Multichannel Taste Sensor"IEICE Trans.Electron. E83-C. 1040-1045 (2000)
• [Publications] S.Iiyama: "Measurements of Soy Sauce Using Taste Sensor"Sensors and Actuators. B66. 205-206 (2000)
• [Publications] 安達利昭: "表面プラズモン共鳴法を用いた広義の味物質の計測"電気学会論文誌. 120-C. 1098-1103 (2000)