2000 Fiscal Year Annual Research Report
光変換を利用した高輝度放射光用転換電子メスバウアー分光(CEMS)検出器の開発
Project/Area Number |
12555235
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野村 貴美 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (40124680)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
依田 卓也 高輝度光科学研究センター, 副主幹研究員
寺井 隆幸 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90175472)
澤田 嗣郎 東京大学, 新領域創成研究科, 教授 (90011105)
|
Keywords | メスバウアー分光法 / 転換電子メスバアー分光法(CEMS)検出器 / 核共鳴シンチレーション検出器 / ガスシンチレーションCEMS検出器 / YAPメスバウー検出器 / 炭酸ガス吸収ペロブスカイト複合酸化物 / ステンレス酸化薄膜の表面・界面 |
Research Abstract |
今年度は特にメスバウアー分光装置の整備と新しい検出器の設計・開発を中心におこなった。 従来のNaI(Tl)シンチレーションカウンターや比例計数管に比較して約4倍速い応答示すYAPシンチレーションカウンターを構成して測定の改良をおこなった。一方、小型のガスシンチレーションによるCEMS検出器を試作した。メスバウアー共鳴成分を選択的に十分に取り出すための最適条件を見つけるにはまだ至っていない。 検出器自体を稼働してメスバウアーγ線を高選択的に検出できるように核共鳴シンチレーション検出器を作製した。57Feをドープしたプラスチックシンチレータと57Co(Cr)のRI線源を用いて測定した結果バックグランドに対して420%の高いピーク比を示し、また線幅も0.26mm/sと狭いスペクトルが得られた。この検出器は放射光の単色ビームにおいて選択的に共鳴成分を検出することが期待される。 他方、測定対象とする試料について準備し、従来の線源を用いる方法で検討をおこなった。ステンレス酸化薄膜の表面・界面の状態分析をするためにメスバウアー共鳴吸収後に放出される電子のエネルギーを弁別してCEMS測定を行い、特にフェライトステンレス表面酸化皮膜の構成成分の変化に伴って界面で変化する内部磁場分布を捕らえることできた。粉末試料では炭酸ガスを高速吸収するペロブスカイト型複合酸化物について測定と解析をおこなった。さらに放射光によるペロブスカイト酸化物のメスバウアー共鳴核による緩和時間スペクトル測定の予備実験を行った。 今年度はこの研究の初年度のため検出器の特性評価などまだ最終的な結果を得るまで至っていないが、問題点などが明確になり、今後の新しいCEMS:検出器の改良開発の手がかりを得ることができた。
|
-
[Publications] A.L.Kholmetskii M.Mashlan K.Nomura O.V.Misevich,A.R.Lopatik: "High-Performance Mossbauer Spectroscopy"日本鉄鋼協会講演論文集. 13巻6号. 1417-1420 (2000)
-
[Publications] K.Nomura^*,Y.Hosoya,H.Nishimura,and T.Terai: "Characterization Of Oxide Layers And Interface Layers Of Ferritic Stainless Steel (Sus430)By^<57>Fe CEMS"Czechoslovakia Journal of Physics. (In press). (2001)
-
[Publications] 野村貴美,寺井隆幸,中沢正治,澤田嗣郎: "ステンレス鋼の酸化表面と界面の転換電子メスバウアースペクトル解析"「放射線と原子核をプローブとした物性研究の新展開」専門研究会報告(II)、京都大学原子炉実験所. (印刷中). (2001)
-
[Publications] G.Juhasz,Z.Homonnay,K.Nomura,T.Hayakawa Hamakawa,A.Vertes: "Microstructural study of CO_2 absorption in (SrCa)(FeCo)O_<3-d>"Solid State Ionics. (In press). (2001)
-
[Publications] K.Suvegh,K.Nomura et al,: "CO_2 absorption of perovskites as seen by positron lifetime spectroscopy"Radiation Physics and Chemistry. 58. 733-736 (2000)
-
[Publications] E.Kuzmann,M.Lakatos^- Varsanyi,K.Nomura, et al: ""Combination of electrochemical hydrogenation and Mossbauer spectroscopy as a tool to show the radiation effect of energetic heavy ions in Fe-Zr amorphous alloys"Electrochemistry Communications. 2. 130-134 (2000)
-
[Publications] 野村貴美,: "「炭酸ガス高速吸収酸化物の開発とメスバウアー分光法によるキャラクタキョン」"東大アイソトープ総合センターニュース、. 30,4. 2-5 (2000)