2002 Fiscal Year Annual Research Report
π電子系ケイ素ポリマーの導電機構の解明と機能材料への応用
Project/Area Number |
12555245
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
九内 淳堯 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90029190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
播磨 裕 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20156524)
大下 浄治 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 助教授 (90201376)
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Keywords | ケイ素ポリマー / オリゴチエニレン / オリゴシラニレン / 導電機構 / 電荷移動 / ポーラロン / πダイマー / 電界発光素子 |
Research Abstract |
主鎖がモノシラニレン(MS)、ジシラニレン(DS)、またはトリシラニレン(TS)とオリゴチエニレン(mT)(m=1-5)からなる一連の交互ポリマーの合成法を確立した。得られたポリマーは塩化鉄ドープで10^<-4>-10^<-1>S/cmレベルの電導度を示した。電導度はオリゴチエニルπ系の伸張につれて上昇し、MS-5Tで10^<-1>S/cmレベルに達した。ケイ素上にエトキシ基を持つMS-5Tは極めて安定な電気化学的ドープ/脱ドープ挙動を示した。また、これらポリマーが電界発光素子のホール輸送材料として優れた特性を示すことを明らかにした。 MS-mTを用いて以下の点の解明を行った:1)ポーラロン、バイポーラロン、πダイマーがどのように伝導機構に関与しているか、2)電荷移動の主要経路は高分子鎖内か鎖間か、3)高ドープ領域で観測される金属-非金属転移の原因は何か。その結果、電荷移動は主に鎖間で起こっていること、また、オリゴオフェンπ電子系の長さとホール移動度の変化の関係を調べた結果、電荷移動にπダイマーが関与することを見出した。 さらに、結合位置規則性の異なるポリ(3-ヘキシルチオフェン)(PHT)を合成した。規則性が81%と70%のPHT、レジオレギュラーおよびレジオランダムなPHTの計4種を用いて、ポリマー膜の構造が電荷移動過程に与える影響を調査した。ドープ率が0.01%から20%にわたる広範囲な領域における電荷担体の移動度測定、電気化学計測、吸収スペクトルとESRシグナルのその場測定から得られた結論として、1)有効共役長が位置規則性によって変わり物性に影響を及ぼすこと、2)低ドープ領域での電荷(ポーラロン)の移動は主にポリマー鎖間で起こること、3)ドープ率の増加に伴う移動度の急激な上昇はポリマー鎖のスタツク構造とは無関係であり、金属伝導の発生はポリマー鎖内の現象であることが分かった。
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[Publications] X.Jiang: "Doping-Induced Change of Carrier Mobilities in Poly(3-hexylthiophene) Films with Different Stacking Structures"Chem. Phys. Lett.. Vol.364. 616-620 (2002)
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[Publications] Joji Ohshita: "Synthesis of Organosilanylene-Pentathienylene Alternating Polymers and Their Application to the Hole-Transporting Materials in Double-Layer"J. Organomet. Chem.. Vol.665. 29-32 (2003)
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[Publications] X.Jiang: "A Transport Study of Poly(3-hexylthiophene) Films with Different Regioregularity"Synthetic Metals. (印刷中). (2003)