2001 Fiscal Year Annual Research Report
高齢化社会におけるヒトの加齢変化に連関する咀嚼機能の役割―fMRI機能画像法による解析―
Project/Area Number |
12557173
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
西山 勝弘 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (20084783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小園 知 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (40084785)
藤田 忠寛 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (70130929)
木下 靱彦 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (70084770)
小野塚 実 岐阜大学, 医学部, 講師 (90084780)
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Keywords | 加齢 / 咀嚼 / ラット / ヒト / 脳 / 海馬 |
Research Abstract |
年齢や記憶が障害されることによって脳内で最も変化する場所が最近明らかにされております。その場所は記憶形成の座として有名な海馬です。この海馬は健常者でも加齢と共に萎縮し、周辺の黒い部分の側脳室が大きく写し出されるようになります。痴呆が進むに従って海馬がひどく萎縮するようになります。このことから、咀嚼と脳の老化の関連を明らかにする上で海馬に焦点をあてて調べることが非常に重要となり、海馬活動に及ぼす咀嚼機能の影響を調べた。 fMRI法では、脳の3D画像上に活性化部位の位置を表現することが出来ますが、Chewing時の大脳皮質の活性化状態を見ると、食事の時のように普通にchewingした場合の大脳皮質の活性化状態を示していた。1秒後にさらに強くしっかりchewingすると、活性化の程度が高くなり、また活性化の広がりも認められた。 次に、軟らかいものと固いものを噛んだときの活性化状態を見た。最初にゼリーの1秒後測定からとせんべいとの比較の結果では、せんべいの方が圧倒的に強い活性が認められた。したがって咀嚼を行うと大脳皮質の神経活動が高まることが明らかとなった。高齢者ではchewingの前には海馬の活動レベルは非常に低かったし、脳の萎縮も認められた。しかしchewingにより海馬の活動レベルにはっきりとした上昇が見られるようになった。若者ではchewingの効果はみられないが、高齢者でははっきりと記憶が向上するようになっていた。したがって、高齢期のchewingが海馬の活動を増強し、高齢者の記憶の形成や保持に重要な役割を果たしていることが考えられる。今回の機能MRI解析から、咀嚼による感覚入力は脳の神経活動の維持とシグナル伝達の可塑的変化に対し重要な役割を演じていることが示唆した。
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Research Products
(1 results)