2001 Fiscal Year Annual Research Report
冷凍保存同種培養真皮上に自家角質化細胞を培養したバイオ人工皮膚の開発と臨床応用
Project/Area Number |
12558111
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
黒柳 能光 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80170140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 直人 北里大学, 医学部, 講師 (90220392)
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Keywords | 角化細胞 / 繊維芽細胞 / ヒアルロン酸 / コラーゲン / バイオ人工皮膚 / 同種培養真皮 / 血管内皮成長因子 / フィブロネクチン |
Research Abstract |
ヒアルロン酸とコラーゲンの2層構造からなるスポンジ状シートに他人の皮膚真皮由来の線維芽細胞を播種して培養する方法で同種培養真皮を製造する技術を確立した(特許申請済)。ヒアルロン酸は含水性が高く保湿効果を発現し、ヒアルロン酸分子自身も治癒促進効果を発現する。しかしながら、ヒアルロン酸単独のスポンジ状シートでは、含水性が高すぎるため線維芽細胞の接着には適していない。そこで、ヒアルロン酸スポンジの表面にコラーゲンのスポンジを複合させた2層構造を設計した。コラーゲンは線維芽細胞の接着に適しており、コラーゲン分子自身も治癒促進効果を発現する。ヒアルロン酸もコラーゲンも少量の分子間架橋を導入することにより、創面に適用して約1週間で分解吸収されるように設計した。 このように設計した同種培養真皮が、新生血管の造生を促進する血管内皮成長因子(VEGF)を産生することをELISA法により明らかにした。また、凍結保存液中で毎分マイナス1℃の条件に温度制御して凍結した冷凍保存同種培養真皮は、急速解凍後もVEGFを産生することを明らかにした。 予備臨床試験として、冷凍保存同種培養真皮を解凍して、進達性重症熱傷のデブリードマン(壊死組織切除)した創面に適用したところ良好な移植床を形成することが明かとなった。そこで、同種培養真皮をマトリックスとして、この上に角化細胞を播種して重層化するための最適培養条件を検討している。スポンジ状シートに組み込まれた線維芽細胞は、VEGFのような創傷治癒促進に重要なサイトカインを産生するほかに、創傷治癒に重要な細胞外マトリックスであるフィブロネクチンも産生することを免疫組織額的手法により明らかにした。スポンジ状シートに基材表面に接着したフィブロネクチンは、角化細胞の接着にも有効に作用することが予想される。 特許申請(黒柳能光:組織再生用基材、移植用材料及びそれらの製法.特許願提出12. 2000.)
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Y.Kuroyanagi, N.Naoto, R.Yamashito, E.Uchinuma: "Tissue-Engineered Product: Allogeneic Cultured Dermal Substitute composed of Spongy Collagen with Fibroblasts"Artificial Organs. 25. 180-186 (2001)
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[Publications] 黒柳能光: "再生組織工学による皮膚の再建:培養皮膚代替物の開発現状"生体材料. 19. 166-176 (2001)
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[Publications] 黒柳能光: "再生組織工学を応用したバイオ人工皮膚の開発"分子心血管病. 2. 79-85 (2001)
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[Publications] 黒柳能光: "皮膚の再建を可能にするTissuc Engineering"遺伝子医学. 4. 594-598 (2001)
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[Publications] 黒柳能光: "組織工学を応用した最初の製品"最新医学. 56. 2707-2712 (2001)