2002 Fiscal Year Annual Research Report
大気境界層全層観測システムの開発と大気乱流の組織構造に関する研究
Project/Area Number |
12559004
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
植田 洋匡 京都大学, 防災研究所, 教授 (70026186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 裕彦 京都大学, 防災研究所, 助教授 (60263159)
余 偉明 東北大大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60251716)
花崎 秀史 東北大学, 流体科学研究所, 助教授 (60189579)
橋口 浩之 京都大学, 宙空電波科学研究センター, 助教授 (90293943)
堀口 光章 京都大学, 防災研究所, 助手 (60190253)
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Keywords | 境界層レーダ / MUレーダ / 乱流組織構造 / 密度成層 / 拡散機構 / 自由大気 / 内部重力波 / 大気境界層 |
Research Abstract |
対流圏全層の乱流変動、乱流フラックスの観測システムの開発:対流圏全域の風速、温度、湿度、雲物理量(雲粒等)とそれらの乱流変動及びフラックスの測定法の確立を目的とした。 本年度(3年度目)は、レーザーレーダによる上部対流圏、下部成層圏の温度の時間変動計測から、熱フラックスと温度変動強度とその消散率の計測を可能にした。 全期間(3年間)の成果として、大気境界層とその上空(上部対流圏、下部成層圏)について、運動量、熱、水蒸気の鉛直フラックスとそれらの変動強度、消散率の測定が可能になった。 本観測システムは、今後、雲の生成、発達過程の研究に適用する予定であるが、本年度は晴天時について上部対流圏、成層圏での拡散機構の解明を目的とした観測を実施した。 自由大気中の拡散機構の研究:大気境界層では、いわゆる「乱流組織構造」に伴う流体運動によって拡散が起こるが、上部対流圏、成層圏では、内部重力波の砕波によって拡散が起こると考えられる。しかし、この拡散機構についての観測は殆どなく、理論はまだない。本研究では、上記観測システムを用いて、運動量、熱、水蒸気の鉛直フラックスと風速、温度、湿度の鉛直勾配から運動量、熱、物質の乱流拡散係数を直接求め、乱流拡散係数に及ぼす密度成層効果を検討した。変動強度や消散率などの乱流統計量の観測値を用いて、種々の乱流モデルの適用性を検討した結果、いわゆる「代数型乱流ストレスモデル」が観測結果をほぼ説明できることが明らかになった。k-εモデルなど、乱流の異方性が考慮していない乱流モデルの適用性には無理がある。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hanazaki, H.: "Linear processes in stably and unstably stratified rotating turbulence"J.Fluid Mech.. 465. 157-190 (2002)
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[Publications] Hanazaki, H.: "Recirculation eddies generated by solitary waves in a rotating fluid"J. Phys. Soc. Japan. 72・3. 670-681 (2003)
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[Publications] Hanazaki, H.: "Effects of initial conditions on the passive and active scalar fluxes in unsteady strably stratified turbulence"Phys. Fluids. 15・4. 841-848 (2003)
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[Publications] An J., Ueda, H., Wang, Z., Matsuda, K., Kajino, M.: "Simulations of monthly mean nitrate concentrations in precipitation"Atmospheric Environment. 37・2. 225-240 (2003)
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[Publications] Carmichael, G.R., Street, D.G., Calori, G., Amann M., Jacobson, M.Z., Hansen, J., Ueda, H.: "Changing trend in sulfur emissions in Asia : Implications for acid deposition, air pollution, and climate"Environmental Science and Technology. 36・22. 4707-4713 (2002)
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[Publications] Terada, H., Ueda, H., Wang.Z.: "Trend of acid rain and neutralization by yellow-sand in East Asia --A numerical study --"Atmospheric Environment. 36・3. 503-509 (2002)
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[Publications] 植田洋匡: "第2章水の大循環サイクルと水資源、「水文大循環と地域水代謝」、丹保憲仁編"技報堂出版. 30 (2003)