2002 Fiscal Year Annual Research Report
現代イスラーム世界における宗教復興主義に関する比較宗教学的研究
Project/Area Number |
12571001
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
塩尻 和子 筑波大学, 哲学・思想学系, 助教授 (40312780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 裕 筑波大学, 歴史・人類学系, 教授 (70151305)
荒木 美智雄 国土館大学アジア, 日本研究センター, 教授 (60103032)
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Keywords | イスラーム / 宗教復興主義 / 政教一致 / 民衆宗教 / イスラーム原理主義 / 旧約聖書 / 聖書 / イスラームの人間観 |
Research Abstract |
本年度は当研究の第3年目であり、海外調査は代表者の塩尻のみが行った。塩尻は7月後半から8月末までアラブ首長国連邦に滞在し、昨年に引き続きイスラーム復興主義に関する調査を行った。荒木と池田は健康上の問題もあり、引き続き国内にあって研究著作活動に専念した。しかし、研究成果には多大なものがあり、多くの論文、著作が発表され、」また国際的に著名な宗教学者を招聘して研究会とシンポジウムが開催された 塩尻は調査中にイスラームスンナ派神学の創始者であるアシュアリーに関する論文「アシュアリー神学の位置づけ」、宗教間対話に関する論文「イスラームとユダヤ教-比較宗教学の見地から」、イスラームと社会の関係を論じた「イスラームの人間観」を執筆した。また1昨年9月11日のテロ事件以降、イスラーム文化についての講演や研究会、セミナーへの出席要請が多くなり、4月から1月まで10回を超えるが、毎回、現地調査を踏まえた発表を行うことができた。またイスラームのジハード論と十字軍思想について談話が、雑誌『サピオ』(2月22日号、小学館)に再録された。平成14年9月14日の第61回日本宗教学会では特別部会「21世紀における諸宗教の共存とアイデンテイティの問題」に3名の発表者の一人として参加して、イスラームを巡る宗教間対話について論じた。1月には上記の研究会とシンポジウムの司会を務めた。 荒木は国士舘大学アジア・日本研究センター長として活動する傍ら、「21世紀アジアの宗教と思想」「現代アジアを巡る文化的接触の意味と宗教の再発見」の論文を発表した。また国士舘大学アジア・日本研究センター主催のシンポジウム「現代アジアをめぐる文化的接触と宗教の意味」において発表者兼パネリストとして重要な役割を果たした。 池田は聖書学に関するエッセーを数多く執筆した。また『銅の巻物の謎を解く』の監・訳を発表、『世界文学事典』に25項目を執筆した。これらは直接イスラームに関連するものではないが、イスラーム思想の歴史的および文化的背景を明らかにする作業であり、現在のイスラームのあり方を比較思想学的に考察するものであり、当研究に深みと広がりを与えるものである。 昨年度に引き続き、イスラエル、エルサレムを調査する目的が果たせなかった。また今年度もイラク問題など不穏な情勢にあるが、アラブ首長国を中心とする調査には支障はなく、十分な成果が得られたということができる。来年度は地中海沿岸地域なども調査したいと願っている。
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Research Products
(20 results)
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[Publications] 塩尻 和子: "アシュアリー神学の位置づけ"宗教と倫理. 第2号. 23-36 (2002)
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[Publications] 塩尻 和子: "Cosmology of al-Ash'ari----Introduction of Atomistic Ontology into Sunnite Kalam"筑波大宅哲学・思想論集. 第28号. 221-232 (2003)
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[Publications] 塩尻 和子: "宗教の社会的使命(イスラーム)"龍谷教学. 第38号. 178-225 (2003)
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[Publications] 塩尻和子: "イスラームとユダヤ教-比較宗教学の見地から"大航海. 第44号. 143-149 (2002)
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[Publications] 塩尻和子: "イスラームの人間観-クルアーンを読み直す(1)"中東協力センターニュース. 6/7号. 126-130 (2002)
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[Publications] 塩尻和子: "イスラームの人間観-クルアーンを読み直す(2)"中東協力センターニュース. 10/11. 61-65 (2002)
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[Publications] 塩尻和子: "新たなイスラーム理解を求めて-「ジハード」を考え直す"中東研究. 第476号. 134-149 (2002)
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[Publications] 池田裕: "風の足跡-北シリア、アイン・ダラ神殿によせて"筑波大学地域研究. 第20号. 1-17 (2002)
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[Publications] 池田裕: "言葉の春"岩波書店『図書』. 第636号. 2-6 (2002)
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[Publications] 池田裕: "もう一人のキャパ"大航海. 第44号. 137-142 (2002)
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[Publications] 池田裕: "風の足跡-東に西に"ミルトス. 第63号. 12-15 (2002)
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[Publications] 荒木美智雄: "武内先生の思い出"京都大学文学部以文会. 第45号. 27-31 (2002)
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[Publications] 荒木美智雄: "現代アジアをめぐる文化接触の意味と宗教の再発見"国士舘日本研究センターニュースレター. 第8号. 1-2 (2003)
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[Publications] 池田裕: "天地創造のものがたり(岩波書店)"天地創造のものがたり. 29 (2002)
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[Publications] 池田裕: "わかるユダヤ学"日本実業出版社. 41-78 (2002)
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[Publications] 池田裕: "聖書-呼びかける言葉"婦人の友社. 241-252 (2002)
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[Publications] 池田裕: "イスタンブール・ボアジチの日本語講座(筑波大学日本語・日本文化学類)"アナトリアの-風景-古代遺跡と村の人々. 47-57 (2002)
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[Publications] 荒木美智雄: "21世紀アジア学(成文堂)"21世紀のアジアの宗教と思想. 88-110 (2002)
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[Publications] 荒木美智雄: "民衆宗教の時代"ミネルバ書房. 1-20 (2002)
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[Publications] 池田裕(監・訳): "銅の巻物の謎を解く(フェザー著)"講談社. 421 (2002)