2003 Fiscal Year Annual Research Report
現代イスラーム世界における宗教復興主義に関する比較宗教学的研究
Project/Area Number |
12571001
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
塩尻 和子 筑波大学, 哲学・思想学系, 助教授 (40312780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 裕 筑波大学, 歴史・人類学系, 教授 (70151305)
荒木 美智雄 国士舘大学, アジア・日本研究センター, 教授 (60103032)
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Keywords | イスラーム / 宗教復興主義 / 政教一致 / 民衆宗教 / イスラーム原理主義 / 旧約聖書 / 聖書 / 宗教と平和 |
Research Abstract |
本年度は当研究の最終年でもあり、海外調査は塩尻と荒木が行い、池田は国内にとどまった。 塩尻は夏季休暇期間を利用して、北アフリカのリビアを調査し、独自の社会主義体制をとるリビア国の首都、トリポリの調査をおこなった。その結果、厳格なイスラーム国と目されていた国がバチカンとの対話セミナーを定期的に開催するなど、開明的な側面が見られた。この国は、今後、国際社会への復帰を目指して急速に変化していくことが予想され、この国を中心とする硬派のイスラーム国の変化に注目が集まるであろう。また塩尻は、国内で3度開催された国際セミナー(外務省主催の「日本・イスラーム諸国文明間対話セミナー」、国際交流基金主催の「日本とイスラーム、共生の時代セミナー」、COE同志社大学-神教学際研究センター主催の「宗教における戦争と暴力」)にコメンテーター、パネリスト、司会として参加した。そのほかにも6月には日本学術会議主催の公開シンポジウム「文明の相克と対話」ではパネリストとして、11月にはCOE東京大学「21世紀の死生観」主催シンポジウム「死者と生者の共同性」にコメンテーターとして出席した。今年度、北アフリカを調査対象としたことは、筑波大学が来年度から「北アフリカ研究センター」を設立することと関連して、大きな成果となった。 荒木は2度、フィリピンを訪問し、民衆宗教に関する資料を収集した。その成果は来年度に発表される予定であるが、このほかにも編著『世界の民衆宗教』、監修『世界の宗教ものがたり』を発表した。 池田は『死海文書大百科』の翻訳という大きな仕事をはじめとして12本の論文・エッセーを発表した。イスラエル、エルサレムへの調査はこの間の政治的状況に鑑みて、実施できなかったことは残念であるが、多くの研究書、論文等の執筆は、それを補ってあまりあると思われる。
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Research Products
(22 results)
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[Publications] 塩尻 和子: "Cosmology of Al-Baqqilani"哲学・思想論集. 第29号. 173-180 (2004)
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[Publications] 塩尻 和子: "イスラームとユダヤ教-宗教の普遍と特殊を考える-"文明間の対話に向けて. 192-208 (2003)
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[Publications] 塩尻 和子: "イスラームをめぐる宗教間対話"グローバル時代の宗間対話. (印刷中). (2004)
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[Publications] 塩尻 和子: "An Aspect of Religious Rervivalism in Islam : Hasan al-Trabis Trial"宗教学における歴史的解釈と類型論・構造論的解釈の再検討. 70-86 (2003)
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[Publications] 塩尻 和子: "宗教の社会的使命(シンポジウム記録)"龍谷教学. 第38号. 178-234 (2003)
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[Publications] 塩尻 和子: "「イスラームの平和」とはなにか(1)"中東協力センター・ニュース. 2003,8/9. 82-87 (2003)
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[Publications] 塩尻 和子: "「イスラームの平和」とはなにか(2)"中東協力センター・ニュース. 2004,2/3. 131-135 (2004)
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[Publications] 塩尻 和子: "イスラームとは何か(2)"歓喜世界. 第210号. 60-65 (2003)
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[Publications] 塩尻 和子: "イスラームとは何か(3)"歓喜世界. 第211号. 74-79 (2003)
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[Publications] 塩尻 和子: "Islam and Globalization, Islam and International Relation, Co-Existence and Interaction Between Islamic Countries and Japan, etc."Al-Hiwar al-Islami al-Yabani. No.1. 64-66,99-100,142-143,244-247 (2003)
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[Publications] 池田 裕: "拓本に救われたダビデの家"みるとす. 2003年4月号. 22-25 (2003)
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[Publications] 池田 裕: "They Divided the Orontes River between Them---Arpad and its Borers with Hamath and Patin/Unqi in the Eighth Century BCE"Eretz-Israel (Hayim and Miriam Tadmor volum). 27. 91-99 (2003)
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[Publications] 池田 裕: "荒野のつらゆき"岩波講座『文学』. 1月報7. 4-7 (2003)
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[Publications] 池田 裕: "夢は海に"みるとす. 2003年6月号. 24-27 (2003)
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[Publications] 池田 裕: "一滴の水"かんぽ資金. 6月号. 19 (2003)
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[Publications] 池田 裕: "静かなシロアの流れ"みるとす. 2003年8月号. 28-31 (2003)
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[Publications] 池田 裕: "衣替え"みるとす. 2003年10月号. 28-31 (2003)
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[Publications] 池田 裕: "青春の日々に-パリンプセトは語る"基督教論集. 47号. 1-9 (2003)
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[Publications] 池田 裕: "旧約聖書と馬"聖書の世界. 12号. 3-7 (2003)
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[Publications] 池田 裕: "オリエント史の中のイスラエル"言語. 2003年12月号. 75-81 (2003)
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[Publications] 池田 裕: "死海文書から旧約聖書を見る"言語. 2003年12月号. 82-83 (2003)
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[Publications] 荒木 美智雄(編著): "世界の民衆宗教"ミネルヴァ書房. 435 (2004)