2000 Fiscal Year Annual Research Report
中国福建省福州及び泉州と沖縄の文化・社会の比較研究
Project/Area Number |
12571022
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Research Institution | Okinawa International University |
Principal Investigator |
小熊 誠 沖縄国際大学, 文学部, 教授 (90185562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
何 彬 東京都立大学, 人文学部, 助教授 (50305405)
小川 護 沖縄国際大学, 商経学部, 助教授 (30248653)
浪平 勇夫 沖縄国際大学, 文学部, 学長 (80088757)
謝 茘 法政大学, 社会学部, 講師 (90318600)
潘 宏立 平安女学院大学, 現代文化学部, 助教授 (20321060)
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Keywords | 比較民俗 / 士族門中 / 宗族 / 風水 / 宗教的性別役割 |
Research Abstract |
沖縄調査は、9月に実施した。名護市屋部の八月踊りの調査では、その前に行われる神役による村落祭祀儀礼を見学した。豊見城村高安の12年に一度行われるガンゴー祭りで、その儀礼を調査した。この二村の村落祭祀儀礼を調査することによって、沖縄における祭祀儀礼の特徴を把握した。また、士族門中では、毛氏国鼎会及び阮氏我華会の調査を行った。中国の宗族との比較となる基礎資料を収集した。 福建調査は、3月に実施した。泉州では、漁村である潯埔を訪問し、家庭内祭祀や媽祖廟、墓地を調査した。正庁の祭壇には、早世した女性の神や観音、土地公など合計9種類の神が祀られており、女性が中心に祭祀する。村でも媽祖廟が重視されている。宗族による宗祠の規模はあまり大きくはなく、分節単位による祖暦で祖先祭紀が行われている。宗教的に女性の地位が高い村落であり、男性と女性の宗教的役割区分というテーマでの調査が興味深い。 風水先生に対する調査では、風水を学ぶ経緯と過程について確認した。文革での労働改造をきっかけに風水に興味をもち、ほとんど独学で学習した。龍・穴・砂・水・向の布局が重要であること、日光や環境と関わる陽宅と父母の血縁と関わる陰宅の調和が大切であることなどを調査した。 福井では、義序の黄氏宗祠において、祠堂、位牌、祖先祭祀、族譜などについて調査した。また、各房ごとに宗祠で祭祀を行う、「伴夜」の儀礼を見学した。さらに、村落の将軍廟や墓地を見学した。墓地の形態や屋根獅子など、沖縄の民俗との類似点を確認した。螺江では、陳氏宗祠及び天后宮を見学した。天后廟では、媽祖の奇跡を描いた壁画の中に、琉球への冊封使であった郭汝霖の遭難を救った図と同じく冊封使の陳侃の遭難を救った故事が描かれており、福州と琉球の交流史が民間にも浸透していることを確認した。
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