2000 Fiscal Year Annual Research Report
アジアの貿易、競争と規制-先進国の視点、発展途上国の視点-
Project/Area Number |
12572014
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
大来 洋一 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (70303089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和久井 理子 大阪市立大学, 法学部, 助教授 (50326245)
山根 裕子 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (70200772)
長岡 貞男 一橋大学, イノベーション研究センター, 教授 (00255952)
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Keywords | 発展途上国 / 貿易自由化 / 市場支配的企業 / 国家独占 / 知的財産権 / 競争法 / 経済発展 / アジア諸国 |
Research Abstract |
研究計画にしたがい、今年度は次の三つの分野での研究を実施した。 まず、WTO、OECD,EC、世界銀行、UNCTADなどの国際機関で検討されている貿易自由化と競争政策および開発についての国際ルールを分析し、検討した。 第二に、市場支配的企業に対する規制についての理論的検討を行った。支配的企業をいかに規制するかは、開発途上国でも争点となりつつある。競争法のみならず、事業法によっても、独自の競争政策に基づく規制が行われており、これも視野に入れる必要があった。和久井は主に市場支配力についての研究を行った。長岡は国家独占に対して貿易ルールと競争ルールがいかに適用されかるか分析し、その成果はOECDペーパーとして2000年11月に貿易と競争のワーキンググループの合意を得た。山根は途上国の公益サービス分野での、外資と競争導入による経済・社会的効果を分析した。 第三に、途上国での実地研究をおこなった。来年度は、アジアの途上国のうち、インドとタイを選び、貿易の自由化、競争の導入、そのための市場制度の整備、とくに競争法および知的財産保護について研究し、これらの市場制度改革が果たして経済発展に与しているか否か、それはいかなる過程を通してか、検討した。比較研究のため資料を収集するだけでなく、専門家のネットワーク構築を試み、インド、ベルギーなどの外国の専門家による講演会も東京で開催した。産業部門としては、おもに情報産業、電気通信、電力、および自動車・繊維産業をとりあげた。 さらに「貿易と経済発展」資料センターを政策研究院に構築するための準備を始め、関係国際機関(WTO,OECD,UNCTAD)と協力しながら資料の収集、分析、公開にむけて作業がなされている。 今年度は以上の枠内で8回の共同研究会を下記のテーマで開催し、学者と政策決定者のあいだで議論がなされた。 第1回平成12年6月23日(金)長岡先生より当プロジェクトの理論的枠組みについて、大来先生よりこれまでのアジア金融危機、規制緩和と競争についての研究について、和久井先生よりインドのテレコム規制緩和と競争についてのこれまでの調査経過の報告。第2回平成12年6月23日(金)WTO「貿易と競争」ワーキンググループによるアジアワークショップ・「競争と経済発展」ついて(山根)。小野五郎先生のご講演「日本の産業政策:経済学的な根拠と分析」。第3回平成12年8月25日(金)清川寛氏の講演「特許と競争政策」について、山名美加氏の講演「インドの特許強制実施制度」について。第4回平成12年11月7日(火)特許庁審判長・京都大学客員教授高倉成男氏の講演「TRIPS協定と環境保護」。第5回平成12年11月28日(火)Paul Waer氏(弁護士(Vermulst and Waer弁護士事務所))の講演"The EU System of GSP and Antidumping:Implications for Developing Countries"第6回平成13年1月30日(火)荒木一郎氏(経済産業省公正貿易推進室長)によるの講演"Japans Trade Policy within the WTO Framework and its Implications for Developing Countries"第7回平成13年1月26日(金)インド商工省Rajeev Ranjan氏による講演"WTO,TRIPS and India's Intellectual Property Policy:its Relevance to Economic Development"第8回平成13年3月8日(木)WTO紛争手続に関する「鈴木ペーパー」(WT/GC/W/410,29 September 2000)、WTO紛争処理ケース:韓国-ある種の乳製品に対するセーフガード措置(WT/DS98)濱田太郎(元在ジュネーブ日本政府代表部専門調査員)。セーフガードに関わる最近のケース韓国とアメリカの例、高瀬保(東海大学法学部教授)、岩田伸人(青山学院経営学教授)。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 大来洋一: "Indnstrial Policy and Post-War Economic Development of Japan : Lessons for the Era of Globalization"
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[Publications] 長岡貞男: "情報産業における独占禁止政策"IT革命と競争政策(後藤晃&山田昭雄編、東洋経済). (2001)
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[Publications] Sadao Nagaoka: "ASSESSMENT OF WTO AND COMPETITION RULES FOR ENTERPRISES WITH EXCLUSIVE OR SPECIAL RIGHTS"Joint Group on Trade and Competition, OECD. (2000)
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[Publications] 長岡貞男: "WTOの競争政策をどう変革するか"経済セミナー. 18-22 (2000)
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[Publications] Hiroko Yamane: "Deregulation and Competition Law Enforcement in Japan : Administratively Guided Competition?"Law and Economics Review (Kluwer Law International). Vol.23 No.3. (2000)
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[Publications] Hiroko Yamane: "The Role of competition policy in balancing industrial policy : the importance o a competitive environment in promoting healthy economic development"GRIPS Research Report Series. 1-2000-0003. (2000)
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[Publications] 山根裕子: "公益サービスへのEC競争法の適用"日本EU学会年報 . 第20号. 153-184 (2000)
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[Publications] 山根裕子: "郵便事業とEC競争法の適用(1)郵便事業独占の範囲"時の法令(大蔵省印刷局). NO.1631. 59-70 (2000)