2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12572040
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
春山 成子 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (10267461)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島尾 稔 慶応大学, 言語文化研究所, 講師 (90255589)
平井 幸弘 専修大学, 文学部, 教授 (30181134)
松本 淳 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (80165894)
大倉 博 防災科学研究所, 防災基盤科学技術研究部門, 部門長(研究職)
|
Keywords | 紅河 / デルタ / 海面変動 / 環境変動 / 評価 / ベトナム / 河川 / 災害 |
Research Abstract |
平成12年度から平成14年度までの3ヵ年の研究期間のなかで、北部ベトナムの紅河デルタを対象として長期気候変動とこれに呼応して起きる自然環境変動および自然環境動態および環境変化を将来的に展望した場合の環境影響評価について調査研究を行った。共同研究者は気候学、歴史学、地形学、堆積学、環境地理学を研究分野としているため、複合的・総合的に紅河デルタの研究を行った。3ヵ年の共同調査を経て、また、現地研究者の協力を含めて得た研究結果は次の用である。デルタでは5本のボーリング調査を行っているが、これらの高精度で年代測定を行い土壌サンプルを堆積学的見地から分析したところ、最終氷期終末期以降のデルタの変化について、1)温暖化にむかう完新世において9000年前以降-6000年前までの海水準変動が日本の平野と異なり一気に上昇することを明らかにすることができた、また、2)海水準変動に応じたデルタの地形形成にかかわる知見としてクライマテックオプチマムを経て、海水準安定期を経た後、緩やかな海面低下によって、デルタが一気に陸化する経過を追うことができた。3)デルタ最前線の浜堤列は人間の居住環境としてデルタ内陸部よりは早い時期に陸化を果たし、人間活動域となったものの、内陸部はラグーンの広がる低湿地であり、近世まで水田としても利用されずにいたことがわかった、4)海岸線の前進は近世まで継続したが、近年の海岸線は流域変化のなかで後退していることがわかった。このようなダイナミックなデルタエボールーションから現在の海岸侵食までの歴.史を考えた場合、将来のデルタの地域計画を策定するためには環境影響評価が必要である。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 春山成子, ブードンファイ: "北部ベトナムの沿岸域の環境変動"地学雑誌. 111-1. 126-132 (2002)
-
[Publications] 春山成子: "北部ベトナムの海岸侵食"地理. 47-4. 98-105 (2002)
-
[Publications] S.Haruyama et al.: "On the Pleistocene/Holocene Bourdary and the Holocene Strategraphy in the BacBo Plain"Journal of Geology. Serios B. 17/18. 1-9 (2001)
-
[Publications] 春山成子: "ベトナムの紅河デルタの稲作生産と気候変動"地球環境. 6-2. 241-250 (2001)
-
[Publications] 成山成子: "紅河デルタの環境変動と農地災害"農業土木学会誌. 68-9. 15-20 (2000)
-
[Publications] 春山成子, 佐川美加: "北ベトナムの水"水科科学. 251. 37-59 (2001)
-
[Publications] S.Haruyama et al.: "Long climate change and Environmental Change of the lower Red River Delta"Agriculturer Publisher House : Hanoi Vietnam. 136 (2001)