2000 Fiscal Year Annual Research Report
青ナイル川下流における水資源の持続性と潅漑農業の近代化に関する研究
Project/Area Number |
12574015
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
畑 武志 神戸大学, 農学部, 教授 (70031193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多多 明夫 神戸大学, 農学部, 助手 (00263400)
田中丸 治哉 神戸大学, 自然科学研究科, 助教授 (80171809)
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Keywords | 潅漑期流量 / 潅漑農業 / 逓減流量予測 / スーダン / ゲジラ潅漑地区 |
Research Abstract |
熱帯乾燥地域にある87万ha余の膨大な面積を持つスーダン国ゲジラ潅漑地区の実態調査と用水源である青ナイル川の潅漑期流量の予測モデルについて研究を行い、次のような実績を得た。 青ナイル川の水源量がかんがい可能面積を決定付け、最近では水不足から小麦生産量が大きく落ち込んでいる。これを改善するためには、10月以降の無降雨期流量の正確な予測による適正な作付け計画が必要である。先ず青ナイル川の逓減期流量の予測であるが、水源域のエチオピアにおける雨量データの入手が困難であることから、スーダン側の測定流量データのみを用いた予測法を考える必要がある。これらの入手流量データを基に10月から翌年3月までの逓減期流量の予測法を検討した。雨期の既知流量データの平均値を初期条件として、Wittenberg型の逓減曲線式を適用し、初期条件の違いによる無降雨期流量を分類して、より高い精度の流量予測方式を開発した。今後ダム管理に反映させて潅漑用水の時間的配分法を検討することになる。 ゲジラ潅漑地区については、基幹潅漑施設及び潅漑農業の実態を調査した。農業大臣との面談により、同国任意地点への立ち入り許可を得たが、今回は短期間であり、ゲジラ潅漑地区のごく一部を踏査しただけである。潅漑省及び農業研究所、並びにゲジラ大学の共同研究者と協議し、現状における観測データの状況と今後の土壌水分等測定計画、ナイル川データの収集解析計画を検討した。また、ゲジラ地区幹支線用水路での管理の実態について調査した。幹線水路は2本並行に走り、併せて360m^3/sの計画流量をもつが、調査を行った10月初めのピーク期には、溢水した場合大惨事を招くにもかかわらず、農家の需要を満たすため水管理責任者は、幹線水路流量を溢水寸前の390m^3/sに保ち、水路通水能への技術的信頼の下に不眠不休の勇気ある運用を行っていた。老朽化している施設を技術者の熱意で支えて管理している実態を確認した。合理的な作付計画と維持管理法は今後の研究での重要な課題になる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hata Takeshi: "The utilization and restoration of water zone in relation to the integrated land use planning"Proc.of the XIV Memorial CIGR World Congress 20000. 303-308 (2000)
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[Publications] Abdelhadi Abdelwahab: "Wheat production for food security in the Sudan and Egypt past, present and future"Proc.of the International Workshop on Conservation Agriculture Food Security and Environment. 1-9 (2001)
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[Publications] Anil Mishra, et al.: "Recession flow analysis of the Blue Nile River"(発表予定).