2000 Fiscal Year Annual Research Report
コケシノブ科(シダ植物)を主対象とする分子形質と表現形質の対比による系統解析
Project/Area Number |
12575012
|
Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
岩槻 邦男 放送大学, 教養学部, 教授 (10025348)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 雅啓 東京大学, 理学系研究科, 教授 (20093221)
伊藤 元巳 東京大学, 総合文化研究科, 助教授 (00193524)
須原 準平 立教大学, 理学部, 助教授 (70062635)
長谷部 光泰 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (40237996)
村上 哲明 京都大学, 理学研究科, 教授 (60192770)
|
Keywords | コケシノブ科 / チャセンシダ科 / 中国 / ニューカレドニア / マレーシア植物誌 / Rosenstockia / 分子系統 |
Research Abstract |
野外調査は中国(加藤雅啓、林蘇娟)、ニューカレドニア(岩槻邦男、村上哲明、美和美胤)、中国(岩槻、村上、谷田部陽子)で実施した。加藤と林はカワゴケソウ科植物の調査を行ったが、この科は種子植物中で異例に単純化を進めた植物で、コケシノブ科の進化と平行している点があり、コケシノブ科との比較研究の上で不可欠の研究対象である。ここで収集された材料に基づく研究成果は近く論文にまとめられる予定である。岩槻らはニューカレドニアで、Rosenstockiaなど、この島に固有の材料をはじめ、コケシノブ科の系統解析に不可欠な貴重な材料を多数入手した。このうち、Rosenstockiaの比較解析については、その成果がほぼ整ってきたので、来年度中には論文として公表する予定である。岩槻らの中国調査は四双版納地域で行われたが、ここでは予定していたコケシノブ科の材料は十分に収集できなかった。しかし、チャセンシダ科など、平行して進めている研究の材料は十分に収集した。 岩槻邦男はパリ自然史博物館とプラハ大学ハーバリウムで資料の調査研究を行ったが、この調査研究によって、マレーシア地域のコケシノブ科の種属誌の研究はほぼ完了し、記載などの原稿部分は完成に近い状況にある。現在、詳細部分図などを、最近購入した機器を活用して、顕微鏡撮影する作業などを進めている。それらをまとめて、近くマレーシア植物誌の1冊として刊行すべく、準備を進めている。 収集されたコケシノブ科の分子系統の解析は、研究室の整備が進んだところで研究協力者を雇用してデータの算出に勤めた。広義のコケシノブ属が比較的短期間に分化したらしいこと、広義のホラゴケ属は単元的ではあるが、複雑な系統分化を行っていることなどが予備的に示されている。これらについては次年度にもさらにデータを積み上げ、より正確な系統関係の追跡を行いたい。系統的位置が不分明であったニューカレドニア固有属Rosenstockiaについては、比較形態と分子系統の両面からの解析が進められたので、狭義のホソバコケシノブ属近縁の種であることを示す論文を近く作成する予定である。
|
Research Products
(2 results)