2003 Fiscal Year Annual Research Report
ブラジルにおける土壌中のカビ毒生産菌とヒトの病原真菌の生態・分布と種多様性
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12575024
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Research Institution | NATURAL HISTORY MUSEUM AND INSTITUTE, CHIBA |
Principal Investigator |
堀江 義一 千葉県立中央博物館, 分館, 分館長 (40092093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 和貴 千葉大学, 真菌医学研究センター, 教授 (90114321)
林 紀男 千葉県立中央博物館, 生態環境研究部, 上席研究員 (60250156)
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Keywords | ブラジル / 土壌菌 / カビ毒生産菌 / マイコトキシン / 日和見感染症 / 病原真菌 / オクラトキシン / アスペルギルス症原因菌 |
Research Abstract |
コーヒーには高頻度でヒトの腎臓に対し強い毒性を示すカビ毒でオクラトキシンA(OCTA)によって汚染されている事が知られており、我国で普通に市販されているコーヒーからも検出されるばかりでなく、血液、血漿、尿などからも普通に検出されており、日本人の健康リスクを考える上で重要なカビ毒である。平成14年度の調査でパラ州サンターレン郊外の熱帯雨林中のコーヒー圃場でAspergillus ochraceusによるコーヒー豆の自然汚染を発見し菌類を分離した。カビの生えたコーヒー豆からは多数の甲虫による食害が見られた。自然汚染菌のOCTA生産性、コーヒー豆中のOCTAの量、圃場での汚染菌の伝播について研究した。その結果コーヒー豆44試料中21試料からA.ochraceusを、21試料にAspergillus Section Nigriの種が分離された。圃場の土壌49試料からは、A.ochraceusは出現しなかったが、Sect.Nigriは63%の土壌から出現した。分離されたA.ochraceus 13株についてMYA培地上でのOCTAの生産性を検索した結果、全株にOCTAの生産性が認められ、生産量時9.4〜121.3μg/mlの範囲であった。コーヒー豆のOCTAの自然汚染の検索は20試料について行い、全試料からOCTAが検出され、検出量は0.5〜659.6μg/gの範囲であった。Sect.Nigriの種ではA.carbonariusについて生産性の検索を行い27.3μg/mlの生産性を認めた。採取された甲虫は2種でヒゲナガゾウムシ科の一種とツツキノコムシ科の一種で、両種とも菌類の生えた植物質を好む種類であった。これらの結果から、コーヒー豆を汚染するA.ochraceusは土壌が汚染源ではなくト甲虫が豆を食害することによって分生子が伝播し汚染が拡大する事が明かとなった。現在、分離されたいまひとつのOCTA生産菌であるSect.Nigriの種について、OCTAの生産性の検索とその伝播について研究を続行している。
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[Publications] Horie, Y., et al.: "Two new species of Neosartorya from Amazonian soil, Brazil"Mycoscience. 44・5. 397-402 (2003)
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[Publications] Hayashi, N., et al.: "Effect of Environmental Factors on Growth Characteristic of the Ciliate Protozoam Cplpidium compylum"Nat.Hist.Res. 7・2. 203-210 (2003)
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[Publications] Komai, S, Fukushima, K., et al.: "A new funicone derivative isolated from Talaromyces flavus IFM 52668"Mycotoxin. 54・1. 15-19 (2003)
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[Publications] 堀江義一: "Aspergillusのテレオモルフの病原性とカビ毒生産性について"日本菌学会会報. 44・1. 25-36 (2004)
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[Publications] Hayashi.N., at al.: "Toxic Cyanobacteria in Brazil"Proceeding of the Third International Symposium for Strategies on Toxic Algae Control in Lake and Reservoirs. 451-454 (2003)